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専門コラム 第62話 真っ当なビジネスで余裕ある売上を実現させたいあなたへ

  

マスクの高値転売が指弾される理由

新型コロナウイルスが国内で急速な感染拡大の兆しを見せ始めた3月中旬、国はマスクの転売禁止を打ち出しました。

違反者には「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」という罰則付きです。

 

感染拡大に先立って目立ち始めたマスクの品薄状態に目を付けた悪質流通業者らが、安価で大量購入した家庭用や医療用マスクを、大幅に利益を水増しして転売する行為が目立ち、一般の人たちや現実的な危険性に直面している医療従事者の手にマスクが渡りにくくなっていたためでした。

 

まもなく、メルカリやヤフーなどのネットオークションでは高値転売は姿を消していきましたが、ネットショップなどではしぶとく高値販売が続きました。

中には、商品価格は安く抑えたまま送料を高額にして、そこで利益を生み出すという手口も見られました。

 

商売は必要とする人に必要なモノを売ることで成り立ちます。

必要の度合いは人によって異なりますから、オークションなどでは信じられない高値がつくこともあります。

 

しかし、特定の好事家を相手にするならまだしも、不特定多数の市民、しかも感染防止という切実な思い、弱みを逆手にとって高額で売りつける行為は、とても真っ当な商行為とは言えません。

 

人の窮状や切羽詰まった思いにつけ込むといえば、「振り込め詐欺」もそうです。

 

かつては子や孫になりすましてお年寄りをだますことから「オレオレ詐欺」と呼ばれていましたが、手口は次第に複雑化し、3人、4人が役割分担して信じさせる手口まで当たり前になっています。

 

あれやこれやと、よく次々に考えつくものですが、こんなことに感心などしておられません。

商売を含めてどんな戦いでも、知恵比べは必要な要素の一つでしょう。真っ当な知恵比べなら、たとえ負けてもある種の爽快感が伴うものです。

 

しかし、マスクの高値転売や振り込め詐欺を行うような連中は、違法性の認識など薄く、どちらかと言えばルールのない、あるいは自分たちで勝手に作ったルールによってゲームしているような感覚ではないでしょうか。

そんな知恵比べは認めるわけにはいきません。

 

成功の秘訣は、お客様の心をつかむこと

では、真っ当なビジネスとは何か。

その本質を突いた言葉は、多くの先人が残しています。

 

たとえば、アメリカの作家で自己啓発やセールス、対人スキルに関する各種コースの開発者であるデール・カーネギーはこう言いました。

私はイチゴクリームが大好物だが、魚はどういうわけかミミズが大好物だ。だから魚釣りをする場合、自分のことは考えず、魚の好物のことを考える。

 

少ししゃれっ気のある言葉ですが、もっとストレートに次のようにも言っています。

ビジネスで成功する一番の方法は、人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、人にどれだけのことをしてあげられるかを考えることである。

 

アップルの共同創始者であるスティーブ・ジョブズもこんな言葉を残しています。

美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?

そう思った時点で君の負けだ。

ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを見極めることが重要なんだ。

 

いずれの言葉も言いたいことは同じです。

相手、お客様が喜ぶこと、お客様の利益になることを一義的に考えなければならないということでしょう。

 

松下幸之助はもっと踏み込んで、簡潔にこう述べています。

無理に売るな。

客の好むものも売るな。

客のためになるものを売れ。

 

お客様ももしかしたら、自分が本当に必要としているものがわかっていないかもしれない。

お客様の本当の気持ちに合ったものを売って、お客様に気づかせろということでしょうから、ハードルは高いと言えます。

しかし、それが実現したら、達成感はひとしおでしょう。

 

もう一つ。

 

名だたる投資家であるウォーレン・バフェットの言葉も紹介しておきましょう。

 

日本企業、とりわけこれから事業を立ち上げようとする日本人への注文があります。

それは、もっと顧客に焦点を当ててほしいということです。喜んでいる顧客がいるような事業が失敗することはありません。

あなたを愛する顧客と、あなたに満足する顧客がいれば、その事業はとてもうまくいっていると言えます。

そのために、自分の仕事への愛情が大切になるのではありませんか。

 

真っ当なビジネスは人生を豊かにする

「真っ当な」の反対の意味を持つ言葉の一つが「後ろ暗い」でしょうか。

真っ当なビジネスと後ろ暗いビジネス。

その違いはどこにあるかというと、後ろ暗いことをしていると、人には言えないということです。

 

違法性があるということに限りません。

世の中には法律の抜け穴を突く脱法行為や「法的責任はなくても道義的責任は免れない」と指摘されるような行為は、政治の世界も含めて枚挙にいとまがありません。

そうした行為も、進んで人には言えないでしょう。

 

そんなとき、人はどんな態度をとるでしょう。

多弁になる、卑屈になる、脅迫的言辞を弄する、決断を急がせるといった言動が増えるのではないでしょうか。

 

良心の呵責がわずかでもあってのこうした態度なら、まだ救いはあるのですが、むしろ開き直りとしか受け取れないような弁解を聞くこともよくあります。

見苦しい、聞き苦しいだけでなく、哀れみを感じることさえあります。

 

あなたはそんなビジネスはしたくないでしょう。

であるならば、ビジネスにおいてこそ品性を忘れないようにしましょう。

 

「論語と算盤」で知られる明治の大経営者、渋沢栄一はこう言っています。

金儲けを品の悪いことのように考えるのは、根本的に間違っている。

しかし、儲けることに熱中しすぎると品が悪くなるのもたしかである。

金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。

 

イギリスの作家で、「西国立志編」と題して明治時代に翻訳出版された「Self-Help」で近代日本の形成に大きな影響を与えたとされるサミュエル・スマイルズはこう言いました。

悪の根源をなすものは、金そのものにあるのではなく、金に対する執着である。

 

売上に固執しないことが、売上アップにつながるという教えと受け止められます。

そして、そんな思いでビジネスを進めれば、あなた自身の人生も、より豊かになるでしょう。

 

お客様を第一に考え、自信のある商品やサービスを、胸を張って売り込んで、自らの人生のステージを一気に押し上げたくありませんか。