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専門コラム 第5話 いただいた対価以上の満足感をお客様に与える

    大志は何のために

    令和の時代が幕開きました。生前退位に伴う明るい代替わりだけに、新しい何かが始まるのではという期待感が漂っているようです。

    明治時代の始まりは、今よりもはるかに混とんとした中にものすごいエネルギーが満ちていたことでしょう。明治9(1876)年に来日して、現在の北海道大学農学部の前身、札幌農学校の初代教頭を務めたクラーク博士も、大きな期待をもって迎えられたはずです。そして彼は、退任してアメリカに帰るに際し、あの有名な言葉を残しました。

    Boys,be ambitious!(少年よ、大志を抱け!)

    この言葉には続きがあったことをご存知でしょうか。

    少年よ、大志を抱け!それは金銭や自己の利益を求めるためではなく、また世の人間が名声と呼ぶあのむなしいもののためでもない。人間が人間として為すべきすべての本分に対する大志であれ。

    大志とは大きな夢や希望であり、野心と言い換えることもできるでしょう。少年に呼び掛けているからこそ「大志」という言葉がふさわしく、人間年をとるにつれ、大志もしぼみがちです。一方で、仕事においてはむしろ、野心の方が強くなっていくのかもしれません。

    野心といえば、分不相応なというニュアンスが加わりますが、理想高く新しいことにチャレンジする気持ちと考えれば、悪いことではありません。

    ただし、クラーク博士の教えに沿うなら、野心であっても、というより、むしろ野心があればなおのこと、「人として為すべき本分」から外れてはいけません。

    では、人の本分とは何か――。

    私は、自らを律し、世の中のためになること、だれかの役に立つということだと受け止めています。自分だけの成功はどこか虚しさを覚えるものです。一方、人の役に立てれば必ず幸福感を伴います。

    もちろんそれは、ビジネスにも当てはまるでしょう。

    第1話でも紹介したアメリカの作家で自己啓発、セールス、スピーチ及び対人スキルなどの各種トレーニングコースを開発したデール・カーネギーは次のように言っています。

    ビジネスで成功する一番の方法は、人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、
    人にどれだけのことをしてあげられるかを考えることである。

    プロ野球の名監督でID野球を駆使した野村克也さんの言葉はある意味、もっと野心めいています。

    コンピューターがどんなに発達しようとも仕事の中心は人間だ。
    ならばそこには「縁」と「情」が生じる。
    それに気づき、大事にした者がレースの最終覇者になるのだと思う。

    2人の言葉は、人に寄り添う気持ち、人のことを親身になって考えることこそ、ビジネスにおける成功の秘訣であることを意味しているように思えます。

    自分もお客さまも幸福になるのがビジネス

    明治の近代産業勃興期に、約500にものぼる企業の設立に携わった実業家の渋沢栄一は次の言葉を残しました。

    夢なき者は理想なし。
    理想なき者は信念なし。
    信念なき者は計画なし。
    計画なき者は実行なし。
    実行なき者は成果なし。
    成果なき者は幸福なし。
    ゆえに幸福を求むる者は
    夢なかるべからず。

    とても示唆に富んでいると思いませんか? 夢→理想→計画→実行→成果→幸福というふうに図式化するとよく分かります。夢、大きな望みを持つことは幸福への第一歩であるということです。

    自動車王、ヘンリー・フォードはこう言っています。

    お金以外何も生み出さないビジネスは貧しいビジネスである。

    2000年代初め、新自由主義経済の名の下に跋扈したハゲタカファンドをフォードが見たらなんと言うでしょうか。同じビジネスに打ち込むなら、豊かな気持ちになりたいものです。ただし、一足飛びに幸福は得られません。夢を段階的に足元の行動に落とし込まなければならないのです。

    仕事をしている以上、どんなポジションにいても自分なりの夢や望みを持っていることでしょう。大きな契約を取る、新製品を開発して大ヒットさせたい、ライバルを出し抜きたい、目標年収〇〇万円、社長は無理でも役員にまでは昇りたい……。

    では、その夢や希望をかなえるためには、どこを向いて行動すればいいのでしょうか。答えは一つしかないでしょう。お客様に向き合うことです。お客様の願いに応えることです。そのためには、お客様のことをとことん知らなければなりません。

    あなたが経営者や組織のリーダーであるなら、精神論や自分の古い成功体験を持ち出して社員や部下の尻をたたくだけでは成果につながらないことを自覚しておくべきでしょう。

    もし営業の成績が上がらない社員や部下がいれば、お客様からのヒアリングがきちんとできているか、お客様との約束はどんな小さいことでもしっかり守っているか、お客様に喜んでもらいたいというマインドを持っているかを質し、足りなければその部分を具体的にアドバイスすべきです。

    サプライズがお客様の感動を呼ぶ

    ただ、それだけで十分とは言えません。なぜなら、ライバル社も同じことをやってきますから、それだけではスタートラインに並んだだけです。お客様の信頼を得て自分のファンにするためには、プラスアルファのサプライズが必要です。

    直接売り上げにつながらない要望に対してでも、自分の足で汗をかいて調べ尽くして、「そこまでやってくれるか」と思わせるほどの献身ぶりを見せてもいいでしょう。人間関係の原点から見れば、思いやりであり、真心です。それがあれば、お客様により大きな満足感を与えられるでしょう。

    松下幸之助はこう言いました。

    商売とは感動を与えることである。

    渋沢栄一の言葉に戻りましょう。あなたの計画にお客様の視点はありますか? それ以前に、あなたの信念は感動や幸福を伴っていますか? 自分にそう問いかけてください。

    夢や望みは自分の将来につながるものですが、同時にお客様の幸せの扉も開くのです。少なくとも、そうありたいという気持ちを持ちたいものです。

    あなたが仕事を通じて大きな望みを実現したいと考えているなら、私からはこう問いかけましょう。

    あなたは真摯な仕事ぶりで、いただいた対価以上の満足感をお客様に与えて、信頼されたくありませんか?

         

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