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専門コラム 第53話 神田昌典氏推奨の「感情マーケティング」「殿様セールス」とは?

今回は、『本コラムの第51話』に引き続き、神田昌典氏の著書『非常識な成功法則』から気になるところを抜粋してお送りします。

 

本コラムの第46話で、顧客からより多く「Yes」を引き出すことの大切さについて記事を上げた際、『売り込まなくても売れる −説得いらずの高確率セールス−』という本を紹介しました。

 

神田氏は『非常識な成功法則』の中で、かつて自分が米国家電メーカーの日本代表として試行錯誤していた時期に、この本の原本(『High Probability Selling』)を読み、不振に喘ぐ同メーカーの日本社を見事V字回復させた成功体験を紹介しています。

 

『非常識な成功法則』の中では、この時の営業マンとしての体験が「第5の習慣 殿様バッタのセールス」に描かれていますが、若い住宅営業マンにも参考になることが多いと思われます。

このコラムでは、神田氏の営業の基本理念とも言える「感情マーケティング」、「殿様セールス(「高確率セールス」)」の極意についてみていきましょう。

 

 

神田昌典氏推奨の「感情マーケティング」「殿様セールス」とは?

見込み客を「感情マーケティング」で集めて「殿様セールス」で切るとは

神田氏は『非常識な成功法則』の「第5の習慣 殿様バッタのセールス」において、「感情マーケティングで集客し殿様セールスで切る」ということを述べています。

 

では、本書や氏の初期の書籍によく登場する「感情マーケティング」とはどういうものなのでしょう。

 

神田氏はセールスの過程を「マーケティング」と「営業」の2行程に区分けしています。

そして「感情マーケティング」は従来の「マーケティング」をより戦略的にしたものです。

 

つまり見込み客に直接的なレスポンスを促す「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」を、神田流に置き換えたのが「感情マーケティング」と考えて良いでしょう。

 

なお「感情マーケティング」で見込み客を集めるには「ほとんどの場合何らかの文書(言葉で書かれたもの)が入り口となって」います(ex. 広告、チラシ、ダイレクトメールなど)。

 

このことからもマーケティングにおける「言葉」の重要性について考えさせられます。

 

※(参考サイト) ダイレクト・レスポンス・マーケティング http://www.takahashisatoshi.com/drm.html

 

神田氏推奨の「殿様セールス」の極意とは

次は「殿様セールス」です。

 

「殿様セールス」とは「高飛車な」セールスということですが、コラム冒頭にあるように『売り込まなくても売れる −説得いらずの高確率セールス−』の原本、『High Probability Selling』そのものと言って良いでしょう。

 

ちなみに、『売り込まなくても売れる(High Probability Selling)』の内容をザッと要約すると、

セールスの目的は相手を説得することではなく、相手が買う確率が高いかどうかを判断すること。

『非常識な成功法則』より

だから営業マンは、購入する確率が高いお客にだけ時間を使い、購入する確率だけが低い客は、さっさと断らなければならない。

『非常識な成功法則』より

となります。

 

ただ、上記の内容が「殿様セールス」だとしたら、大半の方は拒否反応を示すのではないでしょうか。

なぜなら、日本ではまだ「営業とは説得の技術」という考えが主流であり、そもそも顧客を「さっさと断らなければならない」という考えが根付いていません。

 

また本書でさえ、主人公が実習体験を通して、ようやく「高確率セールス」に馴染む様子が描かれています。

それだけ「殿様セールス(高確率セールス)」は、しっかり腑に落ちるまで時間を要します。

 

営業が顧客を選ぶことの重要性

『売り込まなくても売れる』の中で、セールスマンは見込み客に対し、相手が購入する確率が高いかどうか見分けるため何度も質問をし、さらに「買う気があると言う客」にも「なぜそう思うのか」と質問を浴びせます。

 

この辺りがこの本をより難解にしていますが、そのぐらい質問にもこだわり、相手に対して買う確率が高いかどうかを厳しく見極める事が「高確率セールス」の特徴です。

また日米を問わずトップセールスマンは、そこまで執拗に見込み客の選別をしていると言うこと。

これは忘れてはいけません。

 

しかし一度「殿様セールス」を理解し、実際に試してみると、この方法がいかに合理的で「理に適ったセールス術」ということが分かります。

また営業が顧客を選ぶ重要性にも気付くでしょう。

 

ただ若い皆さんが、『売り込まなくても売れる』を読んで、本に書かれているようにストレートに実践できる方は少ないでしょう。

また、相手が買う確率が高いかどうかを見極めることも、難しいことではないでしょうか。

その場合でも「このお客様は当社で追うべき方ではない」、あるいは「深追いすると効率が悪そうだ」といった判断ならできそうです。

そうやって、少しずつ「高確率セールス」のコツを掴んではいかがでしょう。

 

今後もコラムを通じ、「高確率セールス」(「殿様セールス」)の有効性を伝えていければと考えています。