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専門コラム 第4話 感情のブレない強い自分になり進化する

    才能は生まれつきのものか

    およそ言葉というものは、人間が何らかの定義付けをしたものです。西洋文明を一気に取り込んだ明治初期には「自由」や「社会」など多くの翻訳語が生まれました。それらが次第に定着して今に至っているのですが、その定義は1+1=2というほど明確なものではなく、どの言葉もいくつかの意味を持ちます。

    では、「才能」とは一体何を指すのでしょうか。手元の国語辞典を見ると「生まれつきの優れた能力・知恵」とあります。「物事をうまくなしとげるすぐれた能力」「技術・学問・芸能などについての素質や能力」としている辞書もあります。いずれにしても、「持って生まれたもの」ということです。

    しかし、多くの人がこれに異論を唱えています。

    たとえば、学年最下位から1年間で偏差値を40上げて慶応大学に合格した女子生徒を描いた「ビリギャル」の著者、坪田信貴さんは近著「才能の正体」で、「才能というのは結果でしかない」と言います。

    才能とは、結果を出せる能力だと思っています。それは正しい努力をすれば、誰でも手に入ります。

    「才能とは10年、20年と同じ姿勢で同じ情熱を傾けられる力のこと」と言っているのは将棋の羽生善治永世7冠です。

    何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
    報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続していくのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。

    どちらも、才能とは生まれつきの能力ではなく、努力次第で身に着く、というより、努力によって結果を出した人を指して「才能がある」と称しているだけだということです。

    努力の継続が才能を生む

    ヨーロッパのある研究チームが、音楽を志した257人を対象に調査しました。テーマは「生まれつきの才能はあるのか」。結論は「否」でした。彼らの中にはトップレベルに育った人もいれば、途中でやめてしまった人もいましたが、2つの群の違いはたった一つ。成功した群は12歳のときに1日12時間練習をしていたのに対し、挫折した群は15分しかしていなかったというのです。

    この研究も、「才能がある」と言われる人は、他を圧倒する努力をして急速に力を伸ばすから才能があると見られているだけだということを示しています。

    「才能」が他人より秀でたものであることを指しているのは間違いではないでしょう。しかし、その違いを生むのは、持って生まれた力ではなく、努力を続けるということ。私は、その見方に非常に共感を覚えます。

    あなたが「才能がある」と思われたいと考えているのなら、それはそれでけっこうです。しかし、「才能がある」という評価は努力の継続によってのみ生まれるものであることを自覚しておく必要があります。

    そうでなければ、「才能」という言葉が、何事も成し遂げられなかったときの「才能がない」という言い訳に利用されるだけに終わってしまうからです。
    そのときに同時に聞かれるのが「どうせ俺なんか…」「どうせできないんだから…」という言葉です。「どうせ」という言葉を聞いて哀しくなるのは私だけでしょうか。

    ブレない心、自分を信じる気持ち

    だれしも才能があればと思うことはあります。しかし、そう思うだけなら空想、妄想に終わってしまいます。現実逃避にすぎません。

    では、才能が努力次第で身につくものであるなら、どうすれば努力を続けることができるのでしょうか。

    私はブレない気持ちを持つことだと思っています。

    だれにでも迷いはあります。自信を失うこともあります。後悔することだって多いでしょう。しかし、いくら心の揺れは大きくても、その中心には必ず自分がいるのです。多くの場合、人の評価や評判、結果だけに目をむけることで自分を見失ってしまいます。でも、良く生きたいという気持ちは、普段意識しなくても心のどこかにはあるのではないでしょうか。その点だけはブレないようにしましょう。

    あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。ドグマ(教義、常識、既存の理論)にとらわれてはいけません。それは他人の考えた結果で生きるということなのだから。他人の意見が雑音のようにあなたの内面の声をかき消したりすることのないようにしなさい。

    そして最も重要なこと、自分の心と直感を信じる勇気を持ちなさい。あなたが本当になりたいものを、あなた自身がすでによく知っているのだから。

    スティーブ・ジョブズ。言わずと知れた、米アップル社をつくり育て上げた人の言葉です。

    強い自分になって進化するために

    自分を信じられないからブレるんだ。そう思うなら、信じられる自分になりましょう。そのためには、自分に対する小さな約束を守ることです。小さな成功を一つ一つ積み重ねていくことです。

    夜寝る前に、明日しなければならないことを10個書き出し、優先順位をつけましょう。それも自分に対する約束です。明日になってどれから取り組んでもかまいません。しかし、10個のうち下位の7個を終わらせても達成感は3割にとどまります。逆に、上位3個をこなせば、7割の満足感が得られものです。

    今日からあいさつをきちんとするぞ、人の悪口は言わないぞといった小さいことでもかまいません。何かを決めたら、そこから逃げないでください。

    実は、日ごろあいさつができなかったり人の悪口を言う癖がついたりしている人にとって、それを改めるのはとても時間がかかることなのです。1カ月、2カ月、あるいは半年かかるかもしれません。

    その代わり、自然にあいさつができるようになり、人の悪口を言わなくなっている自分に気づいたときの喜びの大きさは、間違いなく想像以上でしょう。その時点で、自分に対する自信は生まれているはずです。

    あなたは空想に逃避しないで、気持ちのブレない強い自分になって進化したくありませんか?