営業職に特化した人事考課制度の指導機関

〒150-0044
東京都渋谷区円山町6-7 1F

TEL : 03-4405-8949

専門コラム 第259話 【前編】展示場・現場見学会に再来場を生み出す5つ要素とアイディア

    

このコラムの最近の記事[1]を読んでいる方は、ブリッジワークの高橋さんと云えば、彼がどういう方かご存知の方が多いのでは——。

高橋さんは札幌を拠点に、日本全国に広がるメンバーへ向け、ビジネスやマーケティングの指導をされていらっしゃる方。そして筆者は高橋さんのYouTubeを愛聴しています。

本日の当コラムは、以前に配信された彼の動画『リピート客を増やして売上を安定させるには?[2]』から「リピートを生み出す5つの要素」を紹介、
それと併せて、展示場・見学会へ再来場を促す方法を提案します。

というのも、僕らの仕事は現場を見てもらい、建物に関心を持っていただかないと、如何せん仕事に繋がりません。そして氏の動画が提案する「リピートを生み出す 5 つの要素」には、展示場や見学会へ再来場を促す基本が、ひととおり詰まっています。

ただ伝える順番として、今回のコラムは「リピート(再来場)を生み出す5つの要素」を、
次回【後編】のほうで、再来場に繋がるアイディアをと考えています——実は今回も一回で記事を完結させるつもりが、上手く行きませんでした。

少し長くなりますが「リピートを生み出す 5 つの要素」は、マーケティング戦略の基本として、押さえておいて損はありません。 皆さまの参考になれば幸いです。


[1] 『ビジネスのそばに自分の得意分野を置くこと(2023.1.23投稿)』

[2] [リピート客を増やして売上を安定させるには?](https://www.youtube.com/watch?v=FqUpYlw3Zh8)

  

【前編】展示場・現場見学会に再来場を生み出す5つ要素とアイディア

1 人は品質より「好き・嫌い」で購入するかを決める

 

高橋さんのメンバー様にも、リフォームや新築案件をこなす工務店・建築業の方はいらっしゃいます。ただ、どうしても商品の性格上、リピート利用してくれることが前提——治療院・クリニック等の経営、美容院、特定の店舗——というクライアントが多いようです。

ただメンバー様の「リピート利用」と同じものが、僕らの業界では「見学会や展示場の再来場」にあたります。また再来場が起きなければ、そのお客さまとの接点は、高い確率で「それキリ」になる点も「リピート利用」と似ています。

古い営業マンは「展示場アポ」に強くこだわったものです。
筆者もこの世代ですから、営業が展示場で即アポを成立させたい気持ちは痛い程分かります。

ただ年々お客さまの警戒心が強くなり、展示場でのアポ成立が難しくなると、代わりに新規客の再来場を促す手段を持つ会社・営業マンに契約が集中しています。

つまり嘗ての「展示場アポ」と同じぐらい、新規客の再来場を促すことがいま求められているのです。

前置きはこのぐらいにして、まず「リピートを生み出す要素」とは
1)品質
2)好意
3)接触
4)差別
5)ラインアップ
の5 つです。

早速「リピートを生み出す5つの要素」から、展示場の再来場に繋がる要素を考察してみましょう。

1)品質

品質とは営業にも関わる部分はありますが、そのほとんどは経営者の考えによって蓄積されたものです。

高橋さんは「味が合わない(または不味い)ラーメン屋には、どんなに素敵なDMが送られてこようと、お客は足を運ばなくなる」と言います。
そしてこのことは「なぜ二度目の来店が起きないか」を端的に言い表しています。

住宅で言えば、
• 建物のセンスや感性はもちろんのこと、
• 最低押さえてなければいけないレベルの住宅の性能、
• 図面・プレゼン資料の精度、
• 契約書・関連書類の充実度合い、
• 保証やアフターの制度がしっかり整っているか
なども、すべて品質には含まれます。

あなたの会社はどうでしょうか。

実はこの品質設定があまりに見事で、ここと当たるとしばらく苦戦を強いられたハウスメーカーがあります。
それほど大事なのがこの品質です。

不安がある場合は、一度見直してみられると良いでしょう。

2)好意

好意は品質とは真逆で、どちらかと言うと経営者ではなく、その殆どが営業マンによって作り出される要素です。

いつの時代も変わらず上位に上がるのが、住宅会社の決定要因に「担当した営業マンが良かった、素晴らしかったから」というもの。

たとえ価格が他所より安かったとしても、人は嫌なところでは買いたくないものです。
また人は本来、自分が購入すると喜んでくれるところから買いたいと思うもの。
これは住宅であろうと美容室であろうと変わりません。

さらに好意は品質をも凌駕する場合があります。

この前の記事[3]ではありませんが、
優秀な営業マンは基本的にみんな「人蕩し(ひとたらし)」です。
「人蕩し」とは、顧客の好奇心を満たすため「感動」「知識」「情報」を与えようと努める人のことを言います。

それゆえ、素晴らしい営業マンが対応するなら、
多少品質に問題があろうと、お客さまは買ってくれます。

なぜでしょう。とどの詰り、人は感情で買うものを決めるからです。

そのため好意こそ、大手を御せる唯一の箇所であり、且つ「勝てるポイント」です。
中小工務店の経営者は、その意味で、優秀な営業マンを確保しなければいけません。また彼らが安心して営業できるよう、品質をブラッシュアップし続けるのが社長の仕事です。

以上二つだけで分かることは、たった二項目ですが、まともな会社で優秀な営業マンを稼働させることができたら、自ずと再来場頻度は上がります。
考えてみれば至極当然のことですが、みんな当たり前すぎてまともに取り合わないのも、この二項目(好意と品質)の特徴です。 なお参考動画に、以前コラムでも紹介した『顧客がファンに変わる最大の要因は?[4]』をあげておきます。お時間がある特にじっくりご覧ください。


[3] 『人を魅きつけてやまない【人蕩し(ひとたらし)】の奥義(2023.2.12投稿)』

[4] [顧客がファンに変わる最大の要因は?](https://www.youtube.com/watch?v=VP1_E2QPWuk&t=14s)

   

2 営業は「エコひいき」しなければならない仕事

 

ここから後半戦です。

3)接触

これはこのコラムでも促していることですが、接触とは定期的にコンタクトを取れるようニュースレターやメールマガジンなどの手段があるかどうかということです。

高橋さん曰く「もちろん、一定の品質があれば、一定の確率でリピートは起きるでしょう。ただリピート構造をお客さま任せていたら……」
そのビジネスはギャンブルと大して変わらなくなります。

筆者もニュースレターを始めたことで、まともな自分の受注予測(努力目標ではありません)が、ようやく上司に報告できるようになりました。

ニュースレターは単に顧客フォローツールというより、見込み客の創出にも十分成り得ます。
高橋さんのメンバー様で、自分のビジネスが上手く回せている方の 9 割がニュースレターを活用しているそうです——なかには、かれこれ 7 年もニュースレターを出し続けている方もいます。

そしてこういう方のビジネスは、コロナ禍の時代でも前年比、前月比を落としていません。

ただイベントへの再来場を促す観点からいうと、これにプラスしてサンキューレター、それに続く初期訪問、各種セールスレターの配布をスケジュール化出来ていることが必要です。

これについては別途、機会を見て説明できたらと考えています。

4)差別

ここでの差別とは(2)好意の延長と考えて良いでしょう。

差別とは「あなたは特別なのです」という、いわゆるエコひいきに近い扱いです。
たとえば、この方は当社を特命で検討して下っているお客さま、あるいはこの方は絶対当社のお客さまになる人と判断できた場合は、営業マンは自分の感覚で顧客を差別扱いにして構いません。

営業の仕事とはそういうものです。

具体的には、営業がそのお客さまと照準を定めたら、他のお客さまの何倍もの手間を掛け、そして汗を流します。というのも、そのお客さまをファンにできれば、後から手間や汗の分が何倍にもなって返ってくるからです。

逆に言うとそういう差別というか、エコひいきに近い扱いができない営業は、既のところでその大事なお客さまを他社に持って行かれます。

この辺のところは、経験がある営業ならきっと分かるでしょう。 なお、見込み客を差別することはマーケティング戦略としても正しく、古くは「パレートの法則(80 : 20 の法則)[5]」としてもずっと言われていることです。


[5] パレートの法則(80 : 20 の法則)とは、ある特定の要素 2 割が全体の 8 割の成果を生み出すという、イタリアの経済学者のヴィルフレド・パレートが考察した所得分配の概念。

   

3 住宅会社はどの商品まで扱うか「明確にする」ことが大事

 

最後に商品ラインナップについてです。

5)ラインナップ
ラインナップという意味には、文字どおり「商品ラインナップ」を意味するものもありますが、もうひとつ「マーケティング戦略としてのラインナップ」という側面もあります。

ただラインナップについて言っておくと、住宅会社が他の業界のように、ラインナップについて神経質にならなくてもいいと考えています。

理由は商品単価が圧倒的に違いますし、特に新築部門には「お試し」という概念がなく、あるのはそれこそ断られるか、契約できるかです。

そんなことより、

  • 自社はどこまでの商品を扱うのか。
  • 新築は戸建のみか。ニーズがあれば集合住宅も扱うのか。
  • その場合の品質はどの等級を目指したら良いか?
  • また性能を向上させるためのリフォームが自社でも扱えるか、その場合の目標とする等級は?

など、どの商品まで扱うか、ある程度明確にするほうが先決です。

この辺は受注活動に関わる問題ですから、再来場を促す観点からも大事なことでしょう。

なお「マーケティング戦略としてのラインナップ」の参考ページに
『【11事例】マーケティングの定番!フロントエンド、バックエンドをマンガ&図解で解説』をあげておきます[6]

いかがだったでしょうか。
「リピートを生み出す 5 つの要素」だけでも結構範囲も広く、また項目によっては一回では分からない箇所もあったのではと思います。また書いている側も駆け足で説明を端折る部分もあったと思います(申し訳ありません)。 次回はお約束どおり、「再来場を促す」ための秘策をお伝えします。
続けて読まれている方は、楽しみにお待ちいだければと思います。


[6] [【11事例】マーケティングの定番!フロントエンド、バックエンドをマンガ&図解で解説](https://note.ad-manga.com/n/ndba980f635ed)

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。