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専門コラム 第15話 自分ならではのやり方で設定したゴールのテープを切る。

ゴールへ導く「立志」の強さ

古代中国の春秋戦国時代には、苦労して学問を身に着けたうえ、諸国を巡って実践的な思考を養い、仕官のチャンスを狙う人材が多くいたようです。中国の史書を渉猟し、独自の視点で歴史上の人物を生き生きと描く宮城谷昌光さんの小説には、そんな人物がたくさん登場します。

「青雲はるかに」の主人公、范雎(はんしょ)もそんな一人です。全国を行脚した末、一度は仕えた権力者に殺されそうになりながら九死に一生を得て、最後は秦の宰相に迎え入れられます。范雎が行った治世は辛口の儒者、荀子に絶賛されるほどで、その後の始皇帝による中華統一に至る秦の礎を築いたとも言えるでしょう。

おなじみの太公望こと呂尚は遊牧民族出身でしたが、一族を殺戮した商王朝打倒を決意。残された数人の仲間とともに各地を放浪した末に、周の王に認められ、軍師として商王朝打倒に大きく貢献します。

余談ですが、呂尚と周の王との出会いは、呂尚が毎日、日がな一日、川辺から針のついていない釣り糸を垂れて王の目を引いたのがきっかけとされます。ここから、現代でも釣り好きの人を太公望と言うようになったのですね。

その宮城谷さんが次のように言っています。

すぐれた人間には、かならず『立志』という精神のたくましさがあることだ。これは、自分はこうなるといいなあ、くらいの漠然とした望みではなく、どうしてもそうなるのだ、と強烈に未来を描く意志の力を、かれらのすべてが例外なく持っていたということだ。

宮城谷作品の登場人物の多くは確かに、明確な目的を持ち、どんな困難にも引かずくじけず、這ってでも目的を達するのだという強い意志を感じさせます。だからこそ、失敗すらも自らの成長の糧として取り込み、その一生が一段と輝くのでしょう。

「もう一歩」を踏み出せるかが結果を分ける

このことをビジネスに照らし合わせるとどうでしょうか。販売にしろ新製品開発にしろ、あるいは納期一つとっても目標、つまりゴールを設定して、それに向けて努力すると思います。ゴールを明確にしてから行動したいあなたなら、行き当たりばったりのタイプより、当然成果を出すことでしょう。

ただ、どこかに逃げ道を作りたいのが、人間が持っている気持ちの弱さです。「これだけやったのだから」と、つい言い訳をしてしまうことがなきにしもあらずです。

為すこと有らんとするものは、たとえば井を掘るがごとし。井を掘ること九仞(じん)なるも、泉に及ばずしてやむれば、なお井を棄(す)つとなす。

これは孟子の言葉です。九仞の深さまで掘り下げたが水が出ない。これほど努力したのだからと自分に言い聞かせ、そこで満足して掘ることをやめてしまえば、井戸を棄てることになる、という意味です。

たどり着くまでゴールは分かりません。あと一歩でゴールというところまで来ていながら、断念してしまうこともあるでしょう。もったいないことです。

発明王、トーマス・エジソンはこう言ってます。

ほとんどすべての人間は、もうこれ以上アイデアを考えるのは不可能だというところまで行きつき、そこでやる気をなくしてしまう。勝負はそこからだというのに。

いずれも自分に対して厳しい言葉で、実践するには「強烈に未来を描く意思の力」を必要とするでしょう。ビジネスにおいてもそこまでの覚悟があれば、必ず道は拓けるはずです。

小説家で画家の武者小路実篤の言葉を付け加えておきましょう。

もう一歩。
いかなる時も自分は思う。
もう一歩。
今が一番大事なときだ。
もう一歩。

相手の心に突き刺さるセールストークの確立を

古代中国の有為の人材が全国行脚を通じて得ようとしたのは、歴史や地政学、各国の治世のあり方と民衆の暮らしぶりなどの該博な知識と豊富な情報はもちろんですが、それらを自分の頭の中で体系化し、的確に相手に伝える能力がないと、王や権力者に受け入れられません。言い換えれば、自己アピールです。

ビジネスで言えば、セールストークでしょう。いかに商品・サービスと自分を相手に受け入れてもらえるかが営業活動においてのポイントです。

セールストークをインターネットで検索すると、「セールストークのコツとは?」「トークを円滑にする3つのセオリー」など、どちらかというとテクニックを取り上げたものがまず目につきます。

しかし、本当にお客様の心に突き刺さり、納得してもらえるセールストークというものは、決してテクニックでもレトリックの巧みさでもありません。これらに頼るのは、言葉は悪いですが、「だましてでも買わせれば勝ち」という価値観につながる恐れが多分にあります。

松下幸之助は、目先の数字にこだわるセールスを、こう戒めています。

無理に売るな。
客の好むものも売るな。
客のためになるものを売れ。

商売とは客に感動を与えることである。

アメリカの作家でビジネスコミュニケーションのスキルを説いてベストセラーになった「人を動かす」の著者、デール・カーネギーも同じようなことを言っています。

ビジネスで成功する一番の方法は、人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、人にどれだけのことをしてあげられるかを考えることである。

真実をまげて利益誘導を図るトークは、必ず相手に見透かされます。そのときは気づかれなくても、その後の商売には決してつながらないでしょう。

文章を書くときに読者の琴線に触れ、共感を得られる言葉を探すのはとても大切です。そんな言葉が一つあるだけで、読者に読んでよかったと思ってもらえます。セールストークにおいても、言葉の選択が重要なのは言うまでもありません。しかし、心に刺さる言葉というものは、相手をよく分かって、相手の視点で考えてこそ紡ぎだされるものです。突き詰めれば、人間性が問われるのだと思ってください。

                                

相手の心に突き刺さるセールストークを身に着けて自分を進化させ、自分ならではのやり方で設定したゴールのテープを切りたくありませんか?

                            

                            

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