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専門コラム 第376話 教育の局面で無理なセールスを仕掛けていけないワケ

 

今日は遅ればせながら、前週予定にしていた、前月の投稿[1]の補足を、させていただければと思います。

補足とは、

“配布したレターで営業マンが売り込んだら、
その時点でセールスは失敗します。
というのも、ニュースレターは見込み客に共感していただくツールだから。

また共感・教育のアスペクトから、セールスを仕掛けてはいけません。
(なぜそうなのかは、ここでは割愛します)”

の部分です。

実は営業マンが無闇に売り込まないほうがいいと言う主張は、
本コラムの色んな場面で登場します。

ではなぜセールスで、無理な売り込み・誘導が宜しくないのか?

それは無理な売り込みが、売り手・買い手の双方からイヤがれるものだから。


[1] 発信者の人となりが伝わるニュースレターとは(2025.4.30投稿済み)

  

教育の局面で無理なセールスを仕掛けていけないワケ

多くのセールスはもはやハードプッシュ型の営業スタイルを返上しつつある

更にハードプッシュ型の売り込みというのは、これも買い手側より、
セールスマンのほうが相当堪えます。

今や過去の時代の遺物といってもいい無理な売り込み。
組織や会社によって(それも大手と言われるところも含まれる)現在も根強く残っています。

ではどうやってハードプッシュ型の売り込みを排し、
彼らは商品を販売し、契約を取り付けているのでしょう。

手短にいうと、営業は商品を売ってはいません。
むしろ広い意味で教育している。そういえば伝わるでしょうか?

踏み込んだ言い方をすると、
教育を通じて、お客さまが営業の考えに広く共感していただく。
そう言っても良いかも知れません。

そして教育・共感の結果、商品が売れ、また契約が成立します。

これで教育の局面から、無理にセールスを仕掛けてはいけないワケが、
何となく理解できたでしょう。

そして注目すべきことは、この方法は特に新しいやり方ではありません
たとえばセールスレターやニュースレターを使うことで、トップセールスの間では、かなり前から取り組まれていたことです。

本コラムでも、ニュースレターを営業の第一に掲げているのは、
ご存じの方も多いと思います。

実際にはトークだけでやる方もいれば、
我々のようにニュースレターを使うやり方もあります。

いずれの場合も、お客さまに「買ってください」とお願いすることもほぼありません。

あるのは、決済の手順をお伝えすることぐらいです。
これがある意味でクロージングの役目を果たします。

「そんなので本当に売れるの?」

ええ。もちろん大丈夫です。
結果もすでに出ています。

くどいようですが、この方法はトップセールスの間で、
かなり前から取り組まれています。

またこれらのことは、皆さんがうまく言語化できないだけで、
営業経験者なら誰でも実践できています。

皮肉なことに、今回のコロナがもたらした嬉しい変化と言えます。

 

レターが何の目的で届けられているかを明らかにする

ただニュースレターに関して、ひとつ注意することがあります。
それはニュースレターが、何の目的で届けられているかという点です。

長くニュースレターを続けていると、反応について多少の波が出てきます。
そして原因として考えられるのは
「これだけの情報を無料で差し出すのには、何かワケがある」と感じている方が、
ニュースレターの読者にはいるだろうということ。

本コラムでよく登場する小野博史氏[1]

彼も自分のページで、
“次に、自分がなにを目的に手紙を届けているのかを、はっきりと書きました。
多くの場合、あたりさわりのないあいさつで終わることが多い。
私も当初、文末を曖昧に締めていました。
しかし、最終的な成約率を計測すると、やはり良い数字は得られませんでした。
自分がお願いすべき部分は、はっきりと言い切ることが重要です。
「ガスを取り付ける段階になりましたら、必ずご一報ください。後悔はさせません!」
きっぱり伝えなければ、相手の心に届かないことを知りました”
と語っています。

筆者は内見会の案内をニュースレターと一緒に出していたので、
自分のレターに「住宅を建てる段階になりましたら、必ずご一報ください……」などの文言は特に入れませんでした。

ただ業種によっては、「こう言う目的で、レターを出している」と、読者にはっきり伝えておくと安心です。

もちろん情報を出す側は、無条件でレターを発信しています。
ただし自分が買う段階に来たら、候補業者として検討してもらいたい気持ちはあります。

そこをお互いに理解しておくことは、情報をやり取りする上で大切です。


[1] 主にニュースレター(情報紙)を通じて企業支援を行うドクターツール(有)代表。

 

コンテンツマーケティングの根底にあるのも「教育」

最後にニュースレターはコンテンツマーケティングの考えが、ベースにあることを述べておきます。

コンテンツマーケティングの定義を、イノーバ[1]では次のように示しています。

“コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法です”

(コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる[2]|innova より抜粋)

もちろんニュースレターも、コンテンツマーケティングの産物であり、一種の仲間と言っていいもの。

なぜならコンテンツマーケティングの定義にも「ニーズを育成」というワードがあり、
ニュースレターも「教育」というキーワードを持つから。


そもそもコンテンツマーケティングの歴史はかなり古く、
今から 100 年以上も前、アメリカの農機具メーカー「Deere & Company」が
1895 年に創刊した「The Furrow」という雑誌がその起源と言われています。

そして「The Furrow」の特徴は、商品やサービスの売り込みは一切行わず、
農家への情報提供が主な目的でした。

まさにニュースレターと同じですね。

ニュースレターも

                   • 売り込みを嫌う。

                   • 何よりグッド・コンテンツを目指す。

点で、コンテンツマーケティングと編集方針、方向性はほぼ同じです。

これらのことからコロナ以降の営業も、「見込み客への教育」というワードが重要になると考えられます。


[1] 2011年6月に設立された株式会社。主にコンテンツマーケティング支援を行なっている。

[2] [コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる](https://innova-jp.com/content-marketing/)

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

弊社では現在、新築住宅を手掛ける工務店・建設会社様を対象に、「売るためのロジックの再構築」に集中して取り組んでおります。

令和7年1月度以降、日本国内の主要都市で『営業力アップ』をテーマとするセミナーを順次開催し、住宅営業の工程毎の様々な売れるアイディアを提案しています。