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専門コラム 第228話 セールスライティングにおける「ストーリー」とは?

    

本コラムは今年で 3 年目を迎えますが、筆者の知る限り、既知の経験で書き忘れたものは「もうほとんどないのでは」と考えるところがありました。

しかし「ザ・レスポンス」に出会って、テーマとして書いていないトピックがまだあることに気づきました。そのひとつが、ダイレクトメールやセールスレター等で使う「ストーリー」です。

「ストーリー」とは、コピーライティングスキルの中でも基礎的な考え方の一つです。
ただ筆者にはあまりに自然なことすぎて、普段文章を書く中で、特別なテクニックとして認識していませんでした。 というわけで今日は、セールスライティングにおける「ストーリー」とは何なのかを取り上げてみます。

  

セールスライティングにおける「ストーリー」とは?

1 『情熱大陸』や『プロフェッショナル 仕事の流儀』が長寿番組となる理由

 

過去を思い出してみると、ライティングにおける「ストーリー」について、このコラムでも部分的に書いたことがあります。

いつだったかは忘れてしまいましたが、
たとえば、今やファストファッションの世界的ブランドとなった、ユニクロに関するコラムです。

このユニクロのセルビッジデニムについて、デニムの紡績・染色・織布・整理加工の一貫生産を行っている世界的名門、カイハラデニム(広島)との長年の共同開発がベースとなっている旨をコラムに書いています。

このコラム記事は、ユニクロが自社のセルビッジデニムに対する開発時の苦労話を一つの「ストーリー」として語っていることに対する賛美でした(おそらくコンテンツマーケティングの説明をしたかったのでしょう)。

「ストーリー」とは、決して商品の売り込みではありません。
こんなメリットがあります。あんな風にも使えますという話をしても、聞く方は全然面白くありません。しかし商品の背景や歴史と言った「ストーリー」には、聞く方は(また読み手は)耳を傾けてくれます。

なぜなら人は好きでもない商品のスペックには関心を示しませんが、ユニークな「ストーリー」は大好きだからです。
MBS 毎日放送の『情熱大陸』や、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』が長寿番組となる理由が、まさにコレです。

もしあなたがセールスの場面で話に困ったら、商品にまつわる「ストーリー」や、ユニクロのセルビッジデニムのような、開発時の苦労話を見込み客に伝えてみるといいでしょう。あなたの語り口次第にかかっていますが、少なくとも商品のスペック、メリット・デメリットを伝えるより、ましな結果が訪れる可能性があります。

なぜなら商品の持つ歴史や哲学が理解できたとき、お客さまは次にその商品を欲しくなるからです。もっと平たく言うと、人は商品のバックグラウンドや「うんちく」を知ると、何故かその商品を欲しくなります。

「ストーリー」を軽視してはいけません。

この「ザ・レスポンス」の動画[1]でも言っているとおり、プロの作家にその商品の「ストーリー」を語らせたところ、100 円の商品が最終的に 6300 円で売り越した実績もあるそうです。 「ストーリー」とは、米国で非常に古くから使われている販売手法なのです。

 


 

[1] 1[明日から使える【営業術】価格を63倍にした販売方法](https://www.youtube.com/watch?v=JwHp5F7ODWY)

   

2 ニュースレターでは自分の「ストーリー」を語ること!

 

冒頭でも言いましたが、「ストーリー」は主にダイレクトメールやセールスレター等で使う手法です。

これをネットコンテンツに置き換えたのが、先のユニクロが自社のセルビッジデニムに対する開発時のエピソードを綴ったコンテンツマーケティングの記事です。

では「ストーリー」は、ニュースレターでは使えないのでしょうか?

いえ。そんなことはありません。

たとえばニュースレターは本文なんかより、出だし挨拶文や最後に書く「編集後記」こそ大事なんだと、このコラムでは度々伝えています。

と言うのも、ニュースレターは自己開示をするコンテンツだからです。

つまり冒頭の挨拶文や締めの「編集後記」こそ、自分の「ストーリー」を語る場面なのです。

以前のコラムで筆者が高校の頃、バイト帰り、夜 10 時か 11 時頃、自転車で山下達郎が率いていた伝説のバンド、シュガーベイブの楽曲を大声で歌った話をニュースレターで書いたところ、思いのほか反応が良かったことを書いています。これもれっきとした自分自身の「ストーリー」です。

つまりニュースレターこそ、自分の「ストーリー」を大いに語るべきなのです。

幸いニュースレターは SNS とは違い、どんなに下らない自分のストーリーを語ったところで、否定的なコメントが付くことはありません。それよりも、「あの人、達郎のファンなんだ!」「俺も自転車に乗りながら、大声で歌を唄ったことがある……」などと、かえって妙な共感を呼びます。

この親近感の醸成こそ、ニュースレターでは非常に大事なポイントになります。 だからどんなエピソードも、どこかで使えるよう、温めておいて欲しいのです。

   

3 「ストーリー」には幾つかコツがある

 

先にも言ったとおり、「ストーリー」の基本は多く試すことにありますが、それでも幾つかコツと言うものも存在します。

良い「ストーリー」のコツは、オチをつけるということ。
それと微妙にギャップがある「ストーリー」の方が、読者は納得しやすいでしょう。

話にオチをつけるという感覚は、関西地方では古くから文化として根付いているため、あって当然という感覚なのですが、他県・他地方の方には伝わりにくいことかも知れません(余談ですが、人気作家にはなぜか関西出身者が、多い気がします……)。

オチをつけるとは、話を「諧謔(かいぎゃく:シャレ、冗談、広い意味でユーモア)」のある結びで終わること。最近ではみられなくなりましたが、古くは漫才やコントなどの締めの結びによく使われました。

オチがある「ストーリー」のほうが小気味よく、より文章が整います。
興味のある方は研究してみるといいでしょう。

ただそんなことは知らなくても、「ストーリー」を使うことは一向に構いません。
「ストーリー」の基本はとにかく数多く試すことです。そしてウケを狙わず、ありのままの出来事を素直に書くことが、読み手の心を揺らします。

ゆくゆくは、語り部として、自分だけのストーリーの「語り口(かたりくち:スタイル)」を見つけてください。きっとセールスに幅が出て来るでしょう。 皆さんの健闘を祈っております。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。