専門コラム 第101話 心を動かすセールスレターを書くには?
今回の投稿では 、このコラムでは久しぶりの登場となる「セールスレター」についてまとめてみます。
ところで住宅営業が書くセールスレターというと、「果たして何だろう」と考え込む人も出てくるのではないでしょうか。
というのも、セールスレターというと、ネットなどで見かける「情報商材を売るためのレターでは」と思い当たる人が多いからです。
もちろんアレもれっきとしたセールスレターです。
ただし、私たちが携わる営業職が書くセールスレターは、ネットにある「恐ろしく長い」レターではなく、便箋やレターパッドを用いて書く(またはパソコンなどで入力する)手紙です。
今回はお客様の心を動かすセールスレターを書くために、何に注意すれば良いかを考えてみましょう。
心を動かすセールスレターを書くには?
セールスレターは、ニュースレターと違い、効果の程が読みにくい
最初に断っておきたいのですが、筆者はセールスレターをニュースレターより使いこなすことが難しいツールだと捉えています。
なぜなら何かを売るためのレターは、技術的にも高度なスキルが求められるからです。
また営業の手紙は情報商材を販売する長いレターとは違い、具体的に体系化されていません。
情報商材を販売するセールスレターは、何番目に登場するフックにどんなキーワードを盛り込むと、リアクションが数パーセント変わるか明確に解説されているといいます。
ところが営業が出す手紙の場合は、そのようなシナリオが全く読めません。
ニュースレターの場合は、抱えているリストの数とレターの発行数が決まっていれば、年間何棟受注できるか大体予想できます。
つまりニュースレターはサブスクリプション型のサービスと似た効果が期待できます。
皆さんも営業職なら、このことがどれだけ重要な意味を持つことが分かるでしょう。
しかしセールスレターは、よほど手紙の名手でもなければ、そのような効果は期待できません。
そんなこともあり、 現役時代の筆者は、ニュースレターに出会ってからサンキューレターを除くセールスレターの作成頻度が下がった時期があります。
(ただし、筆者の場合は後にやっぱりセールスレターは大事と思い直し、作成頻度はだいたい元に戻りました。)
しかし、いろんな場面でセールスレターに助けられる!
ニュースレターに出会って、一旦セールスレターを書く頻度は下がったものの、当時の筆者はDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)を営業の武器としていたこともあり、広告(展示場や完成現場)で集めて手紙(セールスレター)で売るという仕組みを、自分なりに静かに守ってきたつもりです。
また、ニュースレターほどセールスレターに期待していないと言いながら、筆者は多くの場面でセールスレターという道具に「命拾い」してもらったと思います。
新しい転職先という環境下、リスト数ゼロからの再出発。
筆者を救ってくれたのは、紛れもなく 1 通のセールスレターでした。
あの時、あのレターで見込み客を逃していたら、、、と、振り返ったとき筆者は、セールスレターに足を向けて寝られません。
もし、このコラムを読んで下さっているあなたが、気弱で言葉足らずなセールスマンであるならば、これからも営業の世界で生きていくために、セールスレターの力に頼ってみるのも一つの手だと思います。
人の心に届くセールスレターを書くためのアドバイス
セールスレターで幾度の命拾いをしてきた筆者が、その書き方でアドバイスできることは基本的に2 つに絞られます。
ひとつは、これまでの話と矛盾しているようですが、セールスレターでは決して売らないことです。
セールスレターにできることは、あなたの会社を重要な検討先と位置づけることに止まります。
レターで売りの決断まで押し進めてしまうと、お客様は一気に引いてしまいます。
もちろんセールスレターでは、お客様に住宅の計画について聞きはしますが、かと言ってクロージングを仕込むわけではありません。
また会社の建てる住宅について、さまざまな観点で触れることもあるでしょう。
それでもレターで結論を急ぐのは早計な判断です。
この点では、情報商材向けのセールスレターとはニュアンスが全く異なりますので注意してください。
なおセールスレターの参考書籍として毎回お勧めするのが、このコラムで度々登場している三島俊介氏著『セールスレターで「住宅」が売れる本』(産能大学出版部 1999年/3/30)です。
例文も豊富なので住宅営業必読の書と言ってもいいでしょう。中古でも良ければ、数百円(送料込み)で買えるはずです。
二つ目も逆説的ですが、ニュースレターの技術を早く身につけることです。
先ほども出てきたように、ニュースレターで年間棟数が読めるようになれば、セールスレターで失敗してもさほど怖くなくなります。
そのため、必然的に肩の力が抜けて、的確なセールスレターが書けます。
故にセールスレターとニュースレターは、大体同時に身につけられるといいでしょう。
(もちろんニュースレターで顧客との関係性を構築できていれば、セールスレターの役割は再来場のアポが取れれば十分です)
なお余談となりますが、総合的にレターの力を付けたいなら、ジャンルは問いません。
出来るだけ多くの書籍・雑誌を読むことです。
何かの理由で多読ができなければ、同じ本を繰り返し読みましょう。
筆力を上げるには、とにかく「活字」を読むこと(親しむこと)以外に最良の道はありません。
これは成功している音楽家や画家が、他人の作品に関心がない人はいないことと、ほぼ同義と考えればいいでしょう。
皆様のご健闘をお祈りしております。