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専門コラム 第100話 住宅ローンの金利は『変動』と『固定』どっちが正解?

 

このコラムではあまり扱いませんが、今回は久しぶりに住宅の資金計画について話題を取り上げてみます。

 

現役の皆さんの方が詳しいとは思いますが、2020 年10 月の住宅ローンに関して、その金利の推移は依然として低下傾向を続けています。

 

たとえば先月 9 月時点で、フラット 35 の金利は1.320% でしたが、10月は 0.02 ポイント引き下げ、1.300% となりました。

 

かたや変動金利ですが、ネット銀行では最古参のジャパンネット銀行(ここは 0.380%)、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行といった主要 4 行が、熾烈な低金利競争を続けています。

またメガバンク 3 行もいずれも 0.475% と変動型の金利を揃えています。

 

こうした中、本コラムでも一度住宅ローンについて、基本的な考え方を示しておこうと思います。

つまり当面のところ変動金利と固定金利、どちらを選ぶのが正解かということです。

 

 

住宅ローンの金利は『変動』と『固定』どっちが正解?

住宅ローンの主流は変動金利型か固定金利選択型

 

変動金利と固定金利という言葉が出たところで、筆者の考えを先に表明しておくと、おすすめは全期間固定型住宅ローンです。

 

理由は簡単です。

住宅ローン金利が、この先、大幅に下がることはあまり考えられないからです。

それなら現在も続く低金利のうちに、出来るだけ早く有利な固定金利を選んでおけば、この先何が起きても安心です。

 

しかも筆者のおすすめは、金融機関が設定した全期間固定型ではなくフラット 35 の方です。

民間の金融機関の中には、社会情勢などの急変で金利が変わる場合があるからです。

 

なおフラット 35 には買取型と保証型がありますが、一番のおすすめはフラット 35【保証型】の財形住宅金融株式会社(財住金)が扱うローンです。

ここで「財住金」の良さを語ってしまうと結構長くなりますので、一応ホームページのリンク [1] を貼っておきます。

 

ただそうは言っても住宅ローンは、ご存知のとおり全体(マンションも含む)の 8 割を、変動金利型か固定金利選択型(こちらも変動金利の仲間)が占めています。

住宅ローンのメインストリームは、はっきり言って変動金利型か固定金利選択型です。

 

全期間固定型住宅ローンは、現在の住宅ローンユーザーから見た場合、変動金利型や固定金利選択型と比較すると金利は高く、毎月の返済額も多く感じるでしょう。

 

一方、変動金利型は、一定のリスクはあるものの、基準金利が相当期間安定したことで、この先も低金利水準が長く続くと考えられています。

 

以前このコラムでも紹介したFP関根氏(第69話 住宅ローンは一般論だけでは語れない!)も自身のYouTube チャンネルで、この先も変動金利型の低金利水準は10年以上継続すると分析しています。

他の住宅 YouTuber の意見も、大体これに近いものがほとんど。

 

「おすすめは全期間固定型住宅ローンです」などと言っているのは、多分筆者ぐらい(お恥ずかしい限り)です。

 

[1] 参考サイト: [財形住宅金融株式会社](http://www.zaijukin.co.jp/)

 

変動金利型がおすすめできる世帯って?

 

しかし今も現役で営業を続けていたなら、自分のおすすめが全期間固定型であっても、もちろんお客様の意向に合わせてローンを選びます。

 

ここで、筆者なりに変動金利型がおすすめできる世帯を挙げてみると、公務員を含むいわゆる“パワーカップル[2]”や、定年間際でローンの返済期間が少ない世帯になろうかと思います。

 

実は自分の過去のお客様を見た場合、9 割以上がこのパワーカップルか経営者、医師、公務員世帯でした。

なので、仮にいま現役だとしても、変動金利型がおすすめできない方はかなり限られます。

 

また、たとえ長く借りても、10 年から 15 年程度で全額返済する予定の世帯(計画的な返済が可能な世帯)も、変動金利型の住宅ローンで大丈夫です。

 

一方、変動金利型の住宅ローンがあまり向かないのは、自身の経済的事由を低金利で補おうとする世帯でしょうか。

 

住宅ローンは返済期間が長期に渡るため、そのような考えでは不意に起こるリスクに対処できません。

耳の痛い話かも知れませんが、そういう方は資金計画以前に、家づくりにはまだ取り掛からない方が無難です。

 

家づくりはいつからでも可能です。

 

せっかくご縁を頂いたお客様には、安直な考えのもと取り返しのつかない失敗をさせるより、まずはマネーのこと、家のことを学んでいただき、後々まで安心と満足を感じてもらえる住まいづくりを提案したいものです。

[2] 参考サイト: [高収入夫婦の超合理的なライフスタイル事情](https://toyokeizai.net/articles/-/260306)

 

筆者が全期間固定型を推奨する理由はコレ

 

実は筆者が全期間固定型を推奨する理由はもう一つあります。

それはこの先も 10 年近く超低金利水準が続くことは、考えにくいと思うからです。

 

ゼロ金利政策のせいとばかりは言えませが、たとえばいまの異次元レベルの金融緩和がこの先も続けば、地銀を始めとする中小金融機関(信金や農協など)の収益はより深刻化するでしょう。

そのため現政権でも、次期改革案に地銀再編の議論を謳っています。

 

また毎年 1 月に予定されている「世界経済フォーラム(いわゆる「ダボス会議」)」は、来年はコロナの影響で 7 月に延期されるようです。

 

ただ今回の「世界経済フォーラム」は、これまであまり耳にしなかったテーマが上がっていると聞きます。

その中の一つ、「ベーシック・インカム」も当然議論されるテーマではないでしょうか。

 

仮に「ベーシック・インカム[3]」が日本でも導入されたら、依然として金利は変わらずフィックスされたままでいられるでしょうか?

筆者は不可能だと考えています。

 

ただ筆者は、世界情勢について専門家ではないため、「ベーシック・インカム」の導入と金利の関係をうまく説明できません。

けれど、資本主義経済が新たな枠組みに移行する際、金利に何らかの変化が起きてもなんら不思議ではありません。

 

ちなみに不動産コンサルタントの長嶋修氏は、政府が新たな紙幣を発行すると発表した 2024 年までに、何らかの変化が起きるとの見かたをしています。

未曾有の変化に備えて、住宅ローンには全期間固定型という選択肢が用意されています。

 

最後に余談ですが、先日「住宅ローン控除の 1% 控除の妥当性について」、会計検査院が問題視しているとの記事[4]を見かけました。

 

現行の住宅ローン控除は 2021 年末に期限を迎えます。

恐らく、これについては何らかの対応がなされるでしょうが、借入金利が 1% を下回る住宅ローンでは、いくらの控除なら適切と判断されるか、政府・行政の対応を見守りたいと思います。

[3] 参考サイト:[“月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか](https://mainichi.jp/articles/20201003/k00/00m/020/266000c)

[4] 参考サイト: [住宅ローン減税「1%控除」の妥当性](https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64445990Q0A930C2EE8000/)