専門コラム 第52話 営業マンも図面全般に強くなるべきか?
前回のコラムで、営業が建築全般に詳しくなるには
1)自分の担当現場に赴くこと(定期的に)
2)建築関連の書籍等で勉強する
ことを上げました。
しかし、これだけで私たち営業が建築全般に詳しくなれるかというと、そうではありません。
もうひとつ大事な要素を上げさせてもらえるなら、営業は建築図面にも強くなることが必要です。
今回の記事では、どうして営業が図面にも詳しいほうが良いのか、また、図面に詳しくなるための方法についてまとめています。
ただ、これには時間も掛かります。
そのため新人営業マンは本コラムでも推奨している「自分が目指す営業像」として思い描き、少しずつ勉強を続けていくことです。
もちろん「私にとっては特に必要性を感じない」という方も居られるでしょう。その方は今まで通りの自分で何も問題はありません。
営業マンも図面全般に強くなるべきか?
新型コロナ不況以降、住宅業界はより少数精鋭になる!
新型コロナ不況は長期化が想定されます。
イヤな言葉ですが、世相は不況感を色濃くしていくでしょう。
この流れはもう誰にも止められない事と考えるべきです。
つまり旧民主党から自民党安倍政権に交代後、良かった点として挙げられていた失業率の改善でしたが、昨年に実施された消費増税と今回世界規模で広がった新型コロナウイルス感染症により、今までのようには行かなくなります。
そして急にではありませんが、少なくとも住宅業界は、より少数精鋭になると考えられます。
そして、この少数精鋭とは、本物の専門家だけが生き残れるということです。
このことは事の大小はあっても、おおよそ全ての業界に当てはまると考えて良いでしょう。
不動産コンサルタントの長嶋修氏は自身のYouTubeチャンネルで「日本は諸外国と比べても建築士が多過ぎ! これからプランを作るのは建築士に限らず、住宅の計画を総合的な視点でアドバイス出来る人が求められるはず」といったことを述べています。
筆者もこの意見に概ね賛成です。
営業マンも好景気下で許された分業を担うような働き方を卒業し、総合的な知識を習得するため、今まで以上に学ぶ必要があります。
そして、それには建築図面の知識も当然必要になるでしょう。
どうしたら図面全般に強くなれる?
では、どうすれば営業マンが図面全般に強くなれるのでしょう。
賛否はあるでしょうが、筆者がお勧めしたいのは、自分でも実際にプランを書いてみることです。
その意味で、会社で営業にプラン作成を任せている場合は、ある意味でラッキーです。
なぜなら極めて自然な形で、図面全般に強くなれるからです。
また設計者の視点でお客様との打ち合わせできます。
現在で言えば、建物の耐震性にも配慮し基本設計をしますので、自ずと耐力壁の配置にも気を使うようになります。
それに建築予定地の特性についても事前に把握しなければいけませんから、敷地調査をより入念に行うことになるでしょう。
また、こうすることでプラン作成を設計社員、お金のことは営業としていたいままでの働き方ではなく、フィナンシャルな側面から建築分野に至るまで、一人の専門家の立場でアドバイスできます。
実務上、無理に営業がプラン作成を担当する必要はない
しかし、お客様の中には、設計者(建築士)が書いたプランでなければ認めないという方もいらっしゃいます。
その場合は何も営業がしゃしゃりでて、プランを書くことはありません。
また、社内の体制によりプラン作成は設計者に任せている場合も同じです。
営業は実務上、これまで通り資金計画書作りに専念します。
その代わり余力があればやっていただきたいことは、自己トレーニングとして平面・立面両方とも、実際の土地に合わせて自分でもプラニングしてみることです。
平面計画だけではなく立面も出してみると良いのは、基礎高、階高と言った基本的な数字をまず把握しなければ書けませんし、屋根も何寸勾配で計画しなければ法的(高さ)制限をクリアできるか検討もできません。
平面詳細図や矩計図といった設計図書類に強くなるのも、必ず立面計画も起こし、基本設計を作ってみることが始まりです。
こうした地味な努力を続けることで、必ず営業成績にも変化が現れてきます。