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専門コラム 第241話 ユダヤの教えでも語られる「知識」「知性」の尊さ

    

「国が滅んでもどういう心構えで生きれば安心か?」

平和な日本では、上記のようなことはなかなか想像できません。

しかし初めからこれを余儀なくされたのが、いままた世界の話題を呼んでいるユダヤ人です。
帝政ローマ期に起きたユダヤ戦争により、ユダヤ人は住むところを追われたのです(その一部は、極東の我が国にも来訪したとされる話もあります)。

ユダヤ人は世界で初めて貨幣や投資というシステムを作り上げた民族だったと思います。ただそれは、古くから欧州のキリスト教社会から迫害を受けており、ユダヤ人が就ける職業はかなり制限されてきたことと無関係ではないようです。

シェイクスピアの喜劇『ヴェニスの商人』では、ユダヤの高利貸し、シャイロックが見事に描かれていますが、同時にユダヤ人が金に汚い民族として印象付けることにも成功しています。そして第二次世界大戦下のヒトラー(実はヒトラー自身もユダヤの血を引いていたと言う話もあります)による大虐殺は、皆さんも周知のことでしょう。

しかし、ユダヤ人は根本的なところで、知性やプライド、そして何より「知識」というものを大切にしてきた人種でもあります。 今日はいつもとは違った視点[1]で、営業というものを考えてみたいと思います。


[1] 参考サイト:[学校では教えないユダヤ人に金持ちが多い本当の理由|茂木誠](https://www.youtube.com/watch?v=lu25j8cS5b4)

  

ユダヤの教えでも語られる「知識」「知性」の尊さ

1 ユダヤ教の中心的な教え「タルムード」とは?

 

ユダヤには正典と呼ばれる、いわゆる「旧約聖書」というものがあります。

その中身を簡単に記せば、大体以下のように収まります。

「モーセ5書」(=「タウラー」、または「トーラー」とも言う)

  1. 創世記 − アダムとイブ、ノアの洪水、バベルの塔、族長アブラハム、エジプト移住イサク・ヤコブなどファミリーの物語。
  2. 出エジプト記 − モーセの十戒
  3. レビ記 − 律法の細則、倫理規定、食べ物、着る物、儀式のしきたり
  4. 民数記 − 人口調査、荒れ野の四十年
  5. 申命記 − モーセ最後の言葉

そしてこれとは別に、ユダヤの教えにはタルムードと呼ばれるものもあります。

タルムードとは、ユダヤ人にとり「モーセ五書」(トーラー)に次ぐ権威をもつものとされるのです。よく言われるユダヤの教訓こそ、タルムードと言っていいでしょう。

その内容は、ユダヤ人律法学者の社会百般の事象に関する口伝(言い伝え)・解説を集めたものとされ、祖国を離れ散り々りになったユダヤ人は、つねにこれを生活のよりどころとしてきました。

具体的には、ユダヤ戦争(帝政ローマ期の 66 年から 73 年まで、ローマ帝国とローマのユダヤ属州に住むユダヤ人との間で行われた戦争)後、バビロニアに移動したユダヤ人がこれら律法や口伝を、2 世紀ごろ解説を加え文字化したようです。そして世界中に離散したユダヤ人の精神的支柱として、タルムードは現在も存在しています。

しかもタルムードは各国で翻訳もされています。
皆さんの中にも、読んだことがある方もいるのではないでしょうか。

またタルムードは、ユダヤ教会堂(シナゴーグ)で、教師(ラヴィ)が現在も研究を続けているそうです。そのためタルムードがユダヤ教の中心的な教えにもなっています。

言わずと知れたことかもしれませんが、世界中の大銀行のトップはもちろん、金融分野の中枢で多くのユダヤ人が活躍しています。個人投資家で成功している人にもユダヤ人やユダヤ人を祖先にする人たちが多く存在します。

金融や投資の分野だけではありません。 政治の中枢はもちろん、ノーベル賞受賞者、文学の世界(サリンジャーやフィリップ・ロスといったジューイッシュライター)、芸術の分野でも多くのユダヤ人、またユダヤ系移民が多く活躍しています。なぜこれだけユダヤ人が世界で成功するのか。それはタルムードの教えに、秘密があると考えられないでしょうか?

   

2 タルムードの凄さ、素晴らしさ!

 

ではタルムードの教えにはどんなものがあるでしょう。

いちばんに驚いたことですが、日本人にも理解しやすいといのか、タルムードのいくつかは日本の古くからの言い伝えに共通するものがあるのではないかということ。またタルムードでも知識の重要性が謳われていたことです。

これには、奇しくも我が意を得たりと膝を打ちました。このコラムでも、知識の重要性を散々繰り返してきたからです。

人が生きている限り奪うことができないものがある。それは知識である。

財産や肩書などは無くなってしまうものだけれど、一旦手にした知識は誰にも奪われない。だから知識を身につけよう。

ユダヤ人は酷い迫害を受けましたが、それだけではなく、訳なく財産を没収されることも頻繁にあったようです。この教えにはそういう背景が隠されているのしょう。

いきなり場面が変わって恐縮ですが、営業の世界、こと建築営業の世界も、経験や知識の豊かさがモノを言う世界です。これはこのコラムの中でも散々書いてきたことです。特に建築営業では、現場から得られる知識ほど役に立つものはありません。

ただ非常に残念なことに、現場から得られる知識はほぼ蔑ろにされています。
それはなぜか? 理由は、普通の営業では得る事が難しいからです。また大工さん自体も、そう簡単に腹を割って喋ってはくれません。

しかし建築現場に精通した営業は、いろんな面でお客さまから信頼されます。
あなたもぜひ、現場の仕来りを身につけ、技術に強い営業を目指してください。それにはまず受注して、足繁く現場に通うことです。現場から足が遠のく営業では、先が思いやられます。

タルムードの教えに、同じような教訓がもう一つあります。

私たちは先人の教えから多くを学ぶべきだが、と言って、背中に大量の本を積んだロバになってはならない。

また次のような教訓も営業活動の参考になるでしょう。

出会ったすべての人から学べる人が最も賢い。

どんな相手からも学ぶことはある”

私たちはともすると、「知識を学ぶ」ということを「多く本を読むこと」「ネットで調べる」と考えがちです。しかしタルムードが生まれた時代背景から想像すると、知識とは本やネットから得られることより、むしろゼロから自分の頭で熟考し、得られることのほうが多いと考えるほうが妥当です。 「背中に大量の本を積んだロバになってはならない」、また「どんな相手からも学ぶことはある」は、本やネットにばかりに縛られてはいけないことを私たちに教えています。

   

3 ユダヤ人は「誠実、勤勉」を旨とする大和魂にも通じる民族?

 

またタルムードの教えは、ビジネス書にもなぞらえ、我々にも自然と馴染みのある言葉ともなっています。

たとえば、

あなたが知識を増やさないことは、実は知識を減らしているのと同じことになっている。1 日勉強しないと、取り戻すのに 2 日かかる。1 日たりとも怠ることなく学び続けよう。

金を無くしても何も失わない。しかし誇り(プライド)を無くせば多くを失う。そして勇気をなくせば全てを失う。

これなどはタルムードのことなど知らずとも、どこかで読んだことがある教訓という気がします。

また次の一節も、欧州やアメリカの文化からというより、戦前の日本人が大切にしてきたような言葉に思えます。

豊かな人とは、自分で持っているものだけで満足できる人である。

(「豊か」というのはお金ではない。知識、知恵のこと)

すべてお金で買うことはできる。しかし知性だけは買うことはできない。

冒頭でも言いましたが、いま世の中は「良いにつけ悪いにつけ」ユダヤ人、ユダヤ系移民が何かと話題となっています。それはユダヤを単純に二元論では語れないということです。 現状を考えると複雑な思いは断ち切れません。ただ本質的にユダヤは「誠実、勤勉」を旨とした素晴らしい民族であることは間違いないようです。特に今回タルムードのことを知り、大和魂にも通じるモノをみる思いがしました。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

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