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専門コラム 第242話 工務店が抱える顧客がリピートしない理由・問題点とは?

    

コラムを続けて読まれる方はすでにお気づきとは思いますが、最近よく取り上げるものに、
ダイレクト出版の「ザ・レスポンスtheresponse」という動画チャンネルがあります。

扱っているテーマでは、代表の小川氏によるセールス・マーケティング系の話題が何方かと言えばこのコラムとしては好みです。ただそれとは別に、
若い社員(高木仁也さん)が聞き手役に回り、トップ営業マンとしての経歴を持ち、現在コンサルタントとして活躍されている中谷佳正(有限会社 WINKS 代表)という方に語らせているバージョンも、なかなか興味深い内容です——中谷氏は、Yahoo! やGoogle、マイクロソフトがコンサルティングを依頼する、リッチ・シェフレンの日本公式ナビゲーターも務めています。 今日はその中で『顧客がリピートしない最大の理由』という動画[1]を、皆さんとシェアできればと考えています。

 


 

[1] [顧客がリピートしない最大の理由/中谷佳正](https://www.youtube.com/watch?v=TefOI-1ZiSw)

  

工務店が抱える顧客がリピートしない理由・問題点とは?

1 顧客は週末に展示場に行った会社のことも月曜の朝には忘れている

 

今回のテーマは過去にもコラムで取り上げているテーマです。

それは、お客さまというのは、たとえ商品やサービスに満足していてもリピート利用はしないということ。それは時間が経つと、日々の雑事で忘れてしまうということです。

住宅のお客さまは、商品の特性上、本来リピート利用とは縁遠いものです。
それでも週末に展示場や見学会に行った会社の名前も、月曜の朝には忘れています。
それは僕達が日常の生活に戻るから(あるいは戻されるから)です。

このことはワクワク系の小坂裕司氏も盛んに言っています。

お客というのは商品やサービスに満足はできたとしても、容易にファンにはなりません。そしてファン作りには利用頻度が前提条件となります。そのことを、こちらの動画[1]で詳しく解説しています。

WINKS の中谷氏もほぼ同じ意見です。

「新規の集客というのは、業界によって年々難しくなっている。
だからメルマガなどの配信は、何かをマスターしてから、あるいは出し方を学んでからではなく、とにかく出すことを優先に考えることが大事」と言っています。

考えてみればこのコラムでもよく登場する小野博史氏も、これと同じことを言っています。
つまり、この 3 つがあれば「あと他社と同等の商品さえあれば」モノは必ず売れると。「この 3 つ」とは、理解、信頼、記憶です。
そして小野氏は自分の手で自作の情報紙を作り出し、自分は燃料屋なのに、専門外の家まで売ってしまいます。

WINKS の中谷氏、小坂裕司氏、そして小野博史氏は、3 名ともがマーケティング・マスターです。そして3 名ともが、口を揃えて“お客は簡単に忘れてしまう”と言っています。 ならば、出来栄えが多少荒削りでも、メルマガやニューズレターの配信、また情報紙、フレンドリーレターは継続しておくと、あなたの会社の存在がお客さまから忘れられることを防いでくれるでしょう。

 


 

[1] [「顧客満足」と「ファン作り」の大きな違い~どうすればリピートを増やすことができるのか?](https://www.youtube.com/watch?v=MV5Snfe0llI&t=604s)

   

2 建築系特有の顧客がリピートしない最大の理由とは?

 

こうしてメルマガ、ニューズレターなどによって、お客さまとの絆づくりは一応カタチにはなります。ただ建築系の会社、工務店は、もう一つ越えなければいけない山があります。

そのひとつが追加・変更工事です。

「えっ。なんで追加工事が」なんて、思われる方もいるでしょう。

追加工事とは、正式な工事契約の一つですし、業界では随分以前から当たり前のように存在します。もちろんお客様との間に、そのことでトラブルになった、また齟齬が生じたことは一切ない会社がほとんどかと思います。

ただお客さまからすれば、「外壁仕上げの変更にこんなにもお金が掛かるのなら、どうしてそのことを早く言ってくれないの?」と、悔やんでおられる方もいるとしたらどうでしょう。

我々が考えているほど、お客さまは合計金額が徐々に上がる買い物に慣れていません。
またそういうものに対し、「これって、通常の感覚では有り得ないことでは」と思われていたとしたら……

お客さまが一度でも「高い買い物」をさせられた、あるいは「意外に高くついた」と感じたら、その業者・工務店に、自分の大切なお知り合いを紹介しようとは思いません。理由は簡単です。そのお知り合いに、同じ思いをしてもらっては困るからです。

お客さまが慣れていない、また違和感があることは、私達からお客さまに寄り添う必要があります。

たとえば考えられることは、
1)工事請負契約を締結後に追加工事が発生しないよう、密に打ち合わせをする。
2)また追加工事が極力発生しないよう、主だった仕様のグレードを上げておく
などです。

なにもこのコラムは、追加・変更工事を無くすことを勧めるつもりはありません。
追加工事に生じるお互いの誤解を解こうと言っています。 これ以外にも、業界の常識に何も疑問を抱かず、処理していることがきっとあるはずです。
お客さまのテンションを下げていることが他にないか、これを機会に業務の棚卸しをしてみるといいでしょう。

   

3 「キューピーマヨネーズのことを忘れてもらっては困る!」

 

また中谷氏の言葉を繰り返すわけではありませんが、新規獲得は業界を問わず、年々難しくなっています。

そんななか、この動画で中谷氏はとても印象的なコメントを残しています。
それは、「キューピーマヨネーズのことを忘れてもらってはいけないから」という、キユーピーグループの代表の言葉です。

これは何について言っているのかというと、
キユーピーは新聞の一面に多額の広告費を投じ、我々がよく知るキャラクターデザインを載せるだけの広告を打つのだと言います。

キユーピーグループと言えば、押しも押されもせぬ巨大企業です。
その巨大会社でさえ「顧客に忘れてもらってはいけない」という観念を持っているのです。

このことを「それは僕らには関係ないイメージ広告の話」と片付けるようではいけません。
先日も私達はユダヤのタルムードから
“出会ったすべての人から学べる人が最も賢い。

どんな相手からも学ぶことはある”
と学んだばかりです[1]

私たちは顧客の満足度を下げる恐れがある「手付かずの商慣習」を、いまこそあらためるべきです。 次回はより深みに迫っていきます。

 


 

[1] 『ユダヤの教えでも語られる「知識」「知性」の尊さ』(令和4年1月1日投稿)

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。