専門コラム 第97話 ニュースレターに書くネタや題材はどうするのが正解?【後編】
今回は、コラム第96話に引き続き、『ニュースレターに書くネタや題材はどうするのが正解?』【後編】をお届けいたします。
最初にコラム第96話の復習ですが、ニュースレターはセールスに繋がるネタでなければ、何を書いていただいても構いません。
ただ、それでは答えとしては不親切ですので、「関係性」を構築する「自己開示」のためのレターなら、内容はなんでもOKとしました。
そしてその一例として、「好きな映画の記事」を書いていただくことでも可能と提案しました。
今回は、さらに内容を深堀りしていきたいと思います。
ニュースレターに書くネタや題材はどうするのが正解?【後編】
ニュースレターはもともと多くのテーマを取り込める媒体
好きな映画とは、つまり自分の趣味に関する記事でもOKということ。
筆者も以前のコラムで、自分の「手帳術」について、ニュースレターに取り上げたことがあると明かしました。
このように、住宅営業に関係がない話題でも、ニュースレターという媒体では成立します。
これは一般のセールスレターでは、とても考えられないことです。
どうしてこれが可能なのかというと、度々繰り返しますが、ニュースレターは「自己開示」のためのマーケティングレターだからです。
「自己開示」とは「自分がどんな人間かを相手に分かってもらい」その結果、「警戒心を解く」ことです。
この部分はとても重要なので、一度で理解できない場合は繰り返し読んでみて下さい。
そしてこれに沿う内容なら、原則としてニュースレターに書くネタや題材は何を選んでも結構です。
さらに言えば、ニュースレターの「本文」で扱う話題として、「自分の好きな映画の話題」が、そんな突拍子も無い話題でもないということです。
このコラムで度々ご紹介する、マーケターでありコンサルタントの小野博史氏ですが、氏の会社、ドクターツールで提供するニュースレターのひな形は、どちらかと言うと生活ネタ満載の主婦目線のレターです。
一方、筆者が過去に発行したニュースレターは、住宅ネタが中心のレターでした。
取りようによってはこうした専門的な話題のレターの方が、ニュースレターとしては異端なのかも知れません。
また私の知人が発行しているニュースレターは、ターゲットが法人ということもあり、ブライアン・トレーシー(アメリカの著名なスピーカー・セールスパーソン・作家)の言葉なんかを紹介しています。
つまりニュースレターは「自分の好きな映画の話題」でも、「主婦目線の生活ネタ」でも、はたまた「海外の著名なスピーカーについての話」でも、十分テーマとして取り込めてしまいます。
唯一、どのレターにも共通していることは、扱っている商品については一言も触れていないことです。
もちろん所属する会社名は明らかにします。それでも自社製品やプロダクトについて、決して販売誘導はしていません。ニュースレターは、こうした姿勢が読者との間に信頼を生んでいます。
ニュースレターが成立するのは出だしの冒頭部分と最後の「編集後記」があるから
ただ気にしていただきたいのは内容の統一感です。
幾らニュースレターが許容範囲の広い媒体でも、あまりに自分の趣味一辺倒になってしまったり、毎回取り上げるテーマが変わったりすると、読者は混乱します。
つまりテーマが自由すぎると「何のレターだっけ」ということにもなり兼ねません。
そこでニュースレターでは、形式的には「本文」の他に、必ず出だしの冒頭部分と最後の「編集後記」(または会社紹介・スタッフ紹介)が用意されています。
これがあるからニュースレターは、「本文」で扱う題材を比較的自由に設定できます。
それでは住宅関連が話題の中心に据えたニュースレターでは、冒頭部分と「編集後記」はどうなるでしょう。
この部分は「本文」では触れられない営業の普段の生活や仕事ぶり、それらを含めたプライベートな部分を切り取ります。
実はニュースレターの読者の感想で多いのは「本文」の内容より、こうしたプライベート部分に関するコメントです。
なぜなら一般読者は、レターの「本文」より、作者(ここでは営業)のプライベートな部分に関心があるからです。
しばしば本の読者が中身より「あとがき」に惹かれるのは、これと同じ理由です。
「あの回のニュースレターには笑わせてもらった」とか「とても共感できた。次号も楽しみにしています」などの声は、ほとんどが冒頭部分に対して贈られた言葉です。
反応が取れるニュースレターは、決まって冒頭の「つかみ」が優れています。
逆に言うと「本文」の内容は、ニュースレターの評価とはそれほど関係がありません(ただし「本文」で手を抜いて良いわけではありませんので、念のため…)。
ネタや題材にこだわるなら、レターの「つかみ」を強化しよう!
こうして考えると、強力なグリップが効いた冒頭部分を持つレターがカギだと分かります。
またニュースレターは、書くネタや題材にこだわるなら、冒頭の「つかみ」を強化した方が得策のようです。
ここで再び出てくるのが「自己開示」というワードです。
構成はイマイチだけど、何故か読者の心を掴んでしまうニュースレターがあります。
そのレターは冒頭でしっかり「自己開示」がしているレターです。
ニュースレターは「自己開示」が大事と「散々言われる理由」がここにあります。
ニュースレターを出しているけれど、読者からの反応がイマイチと言う方は、冒頭部分の書き方を変えてみてはいかがでしょうか。
きっと何らかの手応えがあるはずです。
なおニュースレターの発行地域によって、「受ける冒頭部分」に若干の違いがあります。
やってみると分かりますが、関西と東北ではウケるツボが異なります。
この点にも注意しながらレターの出だしを再検討してみましょう。