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専門コラム 第98話 セールスの主な技法は「とっくの昔」に出てしまっている!?

 

先週の日曜日、久しぶりに以前にも取り上げたジャック・ワークス ニコラス・E・ルーベン共著『売り込まなくても売れる!−説得いらずの高確率セールス−』(フォレスト出版 2002/11/9)を読み返していました。

 

というのも、コラム第88話の記事で「飛び込みで「言い切ること」の大切さ」に触れたチャプターがあり(参照:『コロナ禍でも飛び込み訪問は出来る!ある源泉営業の現場から見えたもの』)、こちらの出どころが「確かこの本ではなかったかな」と思ったからです。

 

そして本を数ページ読んだところで昼寝してしまったのですが、眠りから覚めて、はたと気付いたことがあります。

それは「平成期、私たちは何もせず令和の時代を迎えた」という反省です。

 

セールスの主な技法は「とっくの昔」に出てしまっている!?

セールスに関わる方は平成期の不策を嘆くべき!

 

実は平成期に何もできなかったという思いは、このコラムを書く以前から漠然と抱いていました。

 

すでに目の前にはとうの昔に確立された(あるいは登場した)、セールスの主な技法が並んでいます。

 

ニュースレター然り、今回再読した「高確率セールス」(これは技法というより本のタイトルですが)然りです。

 

まあ「高確率セールス」の技法は難解な部分もありますから、初めて耳にする人もいるでしょう。

 

ただこの中で出てくる電話営業のアプローチは、飛び込みにも応用できる非常によくできたセールス技法です。

 

それが偶然にも、筆者がチェックした源泉営業のメルマガでも取り上げられていたのです。

 

この本は神田昌典ファンならずとも、営業を本気で極めようと考えた人なら、大抵の方は手に取られているはずです。

けれどもこれらのスタンダードとも言えるセールス技法は、翻訳から 20 年近く経過しましたが、大して今の営業現場に生かされていません。

 

何もいたずらに自らを責めるつもりはありません。

ただ一方で、この不策を他人のせいにする気も毛頭ありません。

やはり良いこと、素晴らしい営業技法は、世に広めなければ話にならないのです。

 

音楽やスポーツもこれで一生食べていく場合はセールスと変わらない

 

エンタメとビジネスとの違いは大きいですが、例えばYouTubeができたことで、アマチュア・プロを問わず、技術的に優れた若いギタリストが(もちろんギター以外の楽器奏者も)多く出てきました。

これは彼らにとってのスター・プレイヤー等の演奏を、YouTubeを通して確認できることが大きいと思います。

 

また筆者は自分でやりませんから詳しくはありませんが、おそらくスポーツの分野にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 

ただ冷静になって考えれば、セールスとかたや音楽やスポーツです。

とても同列では語れません。

もともと営業やセールスは「辛い」「できれば辞めたい」と言葉が示すように、とても人気のある職業とはいえません。平成期に差が開いて当然です。

 

それでもこの 3 つは、技術という面で、それぞれ共通項を持っています。

音楽やスポーツも上達には人知れずの努力が必要です。

むしろ本気でこれで食べていこうと思ったら、音楽やスポーツはセールス職より辛くきついトレーニングや自己節制が待っています。

 

つまりこの 3 つは、どれも職業として捉えたとき、一定の才能と努力が必要です。

 

ただセールスという仕事は平成の時代、あまりに冷遇されて来た経緯があります。

それが令和の時代に廻って来たというのが、筆者のいつわらざる感想です。

 

もし自分の子供が営業で食べていくことを決心したら……

 

仮に自分子供が、営業で食べていくことを決心したとしましょう。

もしそうなったら筆者は迷いなくコピーライティングの重要性を説き、その筋の書籍をいくつか紹介します。

そして間違いなくニュースレターをマスターさせます。

 

それと、筆者も久々に読み返した『売り込まなくても売れる!−説得いらずの高確率セールス−』を、もちろん読むように勧めるでしょう。

 

この本は解説篇も出ていますが、それより最初に出たフィクション形式の方に大事な言葉が詰まっています。

 

「こちらが求めることを率直に話せば、たいがいの人は率直に答えてくれるわ。そうすれば時間と労力の浪費がずいぶん防げるのよ」(97 ページ)

 

またこの本は「顧客を選ぶ」という“セールスの基本中の基本”を教えてくれます。

難解と言われますが、絶対カバンに忍ばせて繰り返し読むべきです。

この本を日本に紹介した監修の神田氏は、この本は最低でも 7 回読めと確か言っていたように思います。

 

もちろんこれだけではありませんが、新しい時代に営業の世界へ入ってくる方に、自分の息子でなくても「これだけは押さえておいてね」と伝えると思います。

 

まだしばらく難しい時期が続きますが、良書が身を助くことをお忘れなく。

今年も残り 3 ヶ月を切っています。

前半が上手くいかなかった方も、気を入れ替えて、次の展開に進むようにして下さい。