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専門コラム 第53話 力と熱意、目的を周囲に伝えて、よりスマートに結果を出せるようになる。

 

迅速なコロナ対策を妨げる前例踏襲の悪弊

増加に歯止めがかからない国内の新型コロナ感染。

職を失ったり閉店・休業を余儀なくされたりして収入の道が途絶え、今日明日の生活に不安を覚える人が急増しています。

医療現場は患者対応に余力を失い、医療従事者の疲弊はピークに達しています。

 

それなのに、国の対策はあまりにも遅すぎます。

待ったなしなのは感染拡大防止であるはずなのに、経済への悪影響を警戒する声が必ず絡み、決定を遅らせているように見えます。

最大の経済対策は一刻も早い感染禍の終息であることが、なぜ分からないのでしょう。

 

諸外国に比べてじれったいほどの対策ののろさにはいくつかの原因が指摘されますが、大きな要因の一つに、前例踏襲にこだわる官僚の悪弊があるのは間違いなさそうです。

もちろん、官僚をコントロールしきれない政治家の優柔不断や問題意識の薄さ、国民生活の実態を肌感覚で分かっていないとしか思えない姿も指摘しておく必要があります。

これは与野党を問いません。

 

「国民が一丸となって立ち向かう」ことを期待するなら、国民がその方向に向かっていける方針と対策を明確にすることが欠かせません。

「未曽有の危機」というのなら、従来のやり方の踏襲で対応できるはずがないではありませんか。

 

豊臣秀吉の小田原城攻めの故事から生まれた「小田原評定」という言葉が今も生きているように、愚にも付かない議論ばかりを繰り返し決定できない体質が、日本の社会と日本人の性格の中に生き続けているのかもしれません。

 

議論を尽くすことは公平感を確保し、将来の禍根を未然に摘み取っておくために必要な時もあるでしょうが、今のコロナ禍は違います。

1日の遅れが傷を何倍にも大きくしかねないのです。前例を超えた新しいやり方に果敢に挑んでほしいものです。

 

挑戦することの価値

人のできないことに挑戦したくなるあなた。

それは素晴らしいことです。

ビジネスソフトウエア企業・オラクルの共同創始者で世界有数の資産家であるラリー・エリソンはこう言っています。

新しい技術への挑戦というリスクを取らない方が、リスクは大きい。この世界では、何もしないことが一番大きなリスクになる。

エリソンが言う「この世界」とはIT業界のことだと思いますが、ほとんどの仕事にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 

本田宗一郎にもこんな言葉があります。

チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。

新しい挑戦に価値があるのは、そこでは前例踏襲はむしろ災いにしかならず、新たなアプローチの方策を見つけるために知恵を絞り、自らを追い込んでいく覚悟があるはずだからです。

 

ですから、本田宗一郎はこんな言葉も残しています。

失敗もせず問題を解決した人と、10回失敗した人の時間が同じなら、10回失敗した人をとる。同じ時間なら失敗した方が苦しんでいる。それが知らずして根性になり、人生の飛躍の土台になる。

 

挑戦に求められるスピード感と周到な準備

企業経営にはスピード感が、より強く求められます。

情報が瞬時に行きかい、経済のグローバル化に伴いアンテナを広く張り巡らせておかなければならない現代においては、その重要性はますます高まっています。

 

人ができないことをやり遂げるには、熟慮とともにこのスピード感が重要です。

さらに必要なのが大局観であり、多様なスキルでしょう。

周りが無理と思うようなことにチャレンジするには、自分の中でこうした資質を育て、能力を培っておかなければなりません。

 

ただ、一つ気になるのは、謙虚さを欠いた挑戦です。

それはときに、無謀と呼ばれる結果を招きかねません。

 

松下幸之助はこう言いました。

私は、失敗するかもしれないけれどもやってみようというようなことは決してしません。絶対に成功するのだということを確信してやるのです。何が何でもやるのだという意気込みでやるのです。

チャレンジするためには、周到な準備と分析が必要です。

いくつもの可能性を考え、一つ一つの懸念と課題を潰しておかなければなりません。

そして強烈な意欲と不退転の決意。これらがそろえば、成功は間近に引き寄せられるでしょう。

 

理解者、協力者の存在が成否を分ける

人が何かを考えるとき、やろうとするときには、雑念が湧いてくるものです。

失敗したらどうしようか、あいつには負けたくないからやってやる、これをやり遂げたら大金持ちだなどなど、純粋に目標だけに邁進することを邪魔する不純物が、往々にして付きまとうのです。

 

人ができないことをやろうとするにしても、他人と比べるべきではないでしょう。

知識も能力も経験も違うのですから、比べてみても意味がありません。

挑戦するターゲットが自分にとってどんな存在なのか、やり遂げることが自分にとってどんな意味があるのかを考えるようにするべきです。

 

次に、何のためにそれに挑戦するのかです。

新しいものを開発するのなら、生み出す新製品が社会や人々にどんな恩恵をもたらすのかを考えておくべきでしょう。

これがあるから挑戦に意味がある、そう言える動機づけをしっかりとしてください。

 

そして、挑戦が成功裏に終わっても、それで満足しないようにしましょう。

社会に残された課題は無数にあり、あなたができることも数えきれないほどあります。

他に何がある? と思うのは、あなたが気づいていないに過ぎません。

 

トヨタグループの創始者、豊田佐吉もこう言っています。

人のやったことは、まだ、人のやれることの百分の一にもすぎない。

最後にもう一つ。

忘れてならないのは周囲への感謝です。

あなたが成功するとしたら、それは多くの理解者、協力者があってこそだということをわきまえていなければなりません。

逆に言えば、理解者、協力者を多く持っていればいるほど、成功への道は近づくのです。

彼らが成功への障害のいくつかは確実に取り除いてくれることでしょう。

 

誰にもまねのできない挑戦をすることは尊いものです。

だからこそ問いかけます。

あなたの力と熱意、目的を周囲に伝えて、よりスマートに結果を出せるようになりたくありませんか。