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専門コラム 第23話 オリジナリティにあふれた製品やサービスを世に送り出し、 社会的地位を確立する。

社会的地位は社会的責任を伴う

人はだれでも、またどんな境遇にいても成功を求めるものでしょう。

それは商売であるかもしれませんし、学術研究であったりスポーツ、文化芸術の分野であったりするかもしれません。

そして、それぞれの分野で成功した人を、世間は社会的地位があると認めます。

ところが、社会的地位を手にした人がすべて幸福かといえば、必ずしもそうではなさそうです。

なぜなら、一定の地位を得た人は、それに応じて一定の仕事や行動様式を求められるからです。

つまり、社会的地位を得た人は社会的責任も負うのです。

社会的責任を自覚してはじめて社会的信用も得られます。

責任を自覚していない人は、成功者になったとしても周囲の評価も敬意も得られません。

責任を全うしようとすれば、それに伴う苦労も自ら引き受けなければならないのです。

それは日常の暮らしにおいても求められます。

たとえば、約束や時間を守る、他人の悪口を口にしない、お金の使い方におごりがない、法を順守するのはもちろん道徳的規律にも違背しないといった、清潔さも持たなければなりません。

社会的地位を手にするためには、小さな成功に満足したりおごったりせず、周囲への心配りを怠らず、常により良いものを求めて自己の成長を心がけられる心気を持たなくてはならないということです。

「徳を積む」という言葉があります。

「徳」は、仏教はもちろん、儒教でもキリスト教でも哲学でも一致して、人間が生きていくうえで大切にすべきものとされます。

最もなじみの深い仏教では、立派な行いや品性を意味し、徳を積めば自分や子孫に返ってくると教えています。

もちろん、見返りを求めてするものではありません。

仏教では、徳の中でも人知れず行う善行をいう「陰徳」を重視します。

陰徳といっても難しいものではありません。

だれかが便利で快適になることですから、無数にあります。先に挙げた時間や約束を守るといった日常生活の一般的な規範に従うことがそうですし、明るく正直に人と接することでもいいのです。

こうしてみると、社会的地位を得た人がその地位に伴う責任を全うすれば、すなわち徳を積むことになるということです。

一方で、「地位は人をつくる」という言葉もありますから、それほど神経質になる必要はないのかもしれません。

イギリスの作家で批評家のウイリアム・ヘイズリットはこう言っています。

重い役職に就くと、人がそれにふさわしい能力を身に着けることは目を見張るばかりである。

高位に就けばそれだけ人の評価も高まるし、自信が付けば力も強くなるのと同じだ。

人は置かれた境遇に同化するものだ。

企業にも求められる「徳」

社会的地位をビジネスの視点で考えてみましょう。

ビジネスにおいて利を求めることは、間違いなく正義です。

不正義は、利の求め方から出てきます。

違法な手段を講じるのは論外ですが、自分だけの利、我利に固執するのも不正義の一つです。

近江商人の教えである「三方よし」がそれを象徴しています。

ただ、これは自らの利を少なくすることを意味するものではありません。

むしろ、自らの利を大きくすることに合わせて相手の利、世間の利を大きくすれば、それで十分につり合いはとれます。

利を大きくする方法はいろいろあるでしょう。

一つ戒めなければならないのは浮利を追うことです。

その典型がバブル時代の不動産投機です。

本業を忘れて浮利を追った企業の行く末はどうなったでしょうか。

そうした企業が破綻したのは自業自得と言えるでしょうが、より大きな罪は、目先の利益を追ってでも勝ち組になって何が悪いといういびつな価値観と風潮を社会全体に植え付けたことです。

バブル崩壊後の長期にわたる日本経済の沈滞を招き、日本社会から活力を喪失させたことに対する責任も免れません。

人に徳が求められるように、企業も利を大きくするためには徳を積む必要があります。

それは、お客様にとって何が一番大切か、どうすればお客様に喜んでもらえるかという考えに基づいた行動です。

ここでは陰徳でなく陽徳、つまり他人に見える行いでいいでしょう。

同時に、企業間競争の中にある以上、ライバル社に勝たなければなりません。

その現実はシビアです。

マクドナルドを世界規模のチェーン店に育て上げたレイ・クロックは自著でこう述べています。

競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればいい。

知りたいものは全部転がっている。

私が深夜2時に競争相手のごみ箱を漁って前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない。

強みを鍛え、付加価値に力を入れれば我々についてくることができずに競争相手は消滅していくだろう。

執念を感じさせる逸話ですが、ここでは「強みを鍛え、付加価値に力を入れ」る点に着目したいと思います。

オリジナリティを発揮して成功につなげよう

「強みを生かす」というのは、他社にないものを提供するということにつながります。

オリジナリティです。

そこには当然、これまでは気づかれなかった新しい付加価値が付随してくるでしょう。

とはいえ、オリジナリティあふれる商品やサービスの必要性は分かるが、なかなか生み出せないと悩んでいる方も多いでしょう。

それに対しては、オリジナリティはお客様との対話の中から生まれるものだと指摘しておきましょう。

なぜなら、お客様に受け入れられ、喜んでもらえて初めて、その商品やサービスが価値を持つものだからです。

ですから、お客様が現状に対して抱く不満やこんなものがあったらいいなという思いにこそ、ヒントは隠されているはずです。

もう一つ、アメリカの作家で経営学と心理学を専攻する大学教授でもあるアダム・グラントが「Originals」という著書の中で述べている言葉を紹介しておきましょう。

普通の人は少ないアイデアしか出さず、それにほれこみ、磨き抜いてから勝負するのに対し、オリジナリティを発揮する人は、作品をたくさん出し、その善し悪しは自ら判断せず、世に判断してもらう。

あくまでオリジナリティを評価するのは世間であり、お客様なのです。

                                

あなたも人の模写でなくオリジナリティにあふれた製品やサービスを世に送り出し、自己の評価を高めるとともに社会的地位を確立したいと思いませんか?