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専門コラム 第22話 お客様の個性に合った未来像を提案して感動を共有し、心地よさを味わう。

モチベーションをいかに高めるか

働き方改革関連法が今年4月から順次施行され、時間外労働の制限や同一労働・同一賃金など勤務体制、給与体系などの見直しが迫られています。

「1億総活躍社会の実現」という旗が振られていますが、背景には労働力人口の減少に加えてAI、IoT技術の進歩などの時代の変化があります。

中小企業では義務化が先延ばしされる分野もありますが、労働力不足がより深刻で、必ずしも資金力があるわけではないだけに、難しい対応を迫られる事態も起きています。

しかし逆に言えば、こんなときだからこそ、他社と差別化して自社独自の強みを築き上げていくことが可能なのではないでしょうか。

高い技術力や製品開発力があれば、自社の評価を高めることは比較的容易です。

しかし、より重要なのは、社員が高いモチベーションを持って一丸となり、互いに切磋琢磨しながら努力を続けられる職場環境や雰囲気を備えることではないでしょうか。

それが、働き方改革の大きな焦点である生産性向上にも大きく寄与すると思います。

前向きに仕事に取り組むためのモチベーションには外的要因と内的要因があります。

外的要因は周りの評価や昇任、給料アップなどで、公平に実施されれば、これはこれで効果はあるでしょう。

これに対して内的要因には、仕事がもたらす達成感や自己成長感などが挙げられます。

心理学者のハックマンと経営学者のオルダムは、仕事のやる気と満足感についての研究成果を1975年に発表しています。

その中で、職務の基本特性として次の5つを指摘しました。

・技能多様性:その仕事でどれだけ自分の多様な能力が生かせるか
・職務完結性:仕事の最初から最後まで全体を理解したうえでかかわれるか
・職務重要性:その仕事が他人の生活や仕事にどれだけ重大な影響をもたらすか
・自律性:仕事のやり方についてどの程度裁量が与えられているか
・フィードバック:仕事の進捗や成果が、直接的で明確な反応としてもたらされるか

いずれの項目も、その度合いが高いほど仕事の有意味感や責任感、成果への知識が増し、仕事に対する満足感が高まるというのです。

つまり、内的モチベーションがアップすることで、生産性が上がるとともに、高い充足度が得られると指摘しています。

個性を認め磨き上げていこう

そうした仕事内容と職場環境が整っていれば、一人ひとりの能力が引き上げられ、成長のスピードも上がるでしょう。

ただし、それが特定の人間にとっての快適さであっては、成果は小さなものになってしまいます。

マネジメントの大家、ピーター・ドラッカーはこう言っています。

職場では自己の強み、仕事のやり方、価値観とともに、ともに働く者全員の強み、仕事のやり方、価値観が重要な役割を持つ。あらゆるものが個性を持ち、大きな違いを持つ。

どんな人間にも秀でた部分と至らぬ部分があります。

たとえば、5角形のそれぞれの頂点に人物評価の項目を設定し、それぞれ10段階評価をして線で結べば、その線が作る形は人によって大きく異なるでしょう。

知識や技能にも個人差がありますし、成長したいという欲求の大きさも人それぞれでしょう。それも含めて個性です。

組織は、個性を認めるところから成長していきます。適材適所はその一つの方法ですが、よりいいのは、各人の個性のひだをより大きくすることです。

そうすることで個性はより際立ち、新しいものが生まれる可能性が高まります。

仕事がしやすいから、摩擦が少なくなるからと、五角形にできる線を丸くしようとしてはいけません。全員の最大公約数を求めようとすれば、個々の能力を抑え込むことになるだけです。

加えて大切なのが、それぞれが既成概念やしがらみにとらわれないことです。

そんなことをすれば、自ら個性の発露に歯止めをかけるだけです。

組織とはこうあるべきだという古い固定観念にとらわれていたら、自分の思考を覆うそうしたものを取り払わないと想像は広がらず、成長も見込めません。

相対性理論などで知られる物理学の偉人、アインシュタインはこう言っています。

他の人とは違うことを考える独創的な人がいなければ、社会は発展しません。言い換えれば、人々の個性を伸ばさなければ、社会は進歩しないということです。

社会を会社に置き換えても、まったく同じことが言えるでしょう。

働き方改革をはじめ現代の組織作りにおいては、勤務時間を含む就労条件やリモートワークといった働く形式に力を入れているのが現状です。

しかし、ほとんど資本投下もいらずに会社を改革できるのが、最初に紹介した職務の基本特性を念頭に置いて、組織全体で個性を育むことです。

そうした思想があってはじめて、社員が生き生きと働け、卓越した会社が育っていくと、私は思います。

お客様の個性を見極めて、感動を伴う提案を

社員の個性を重視するなら、お客様の個性も当然尊重されなければなりません。

好き嫌いや何を美しいと感じるかも個性ですから、お客様に製品やサービスを提供しようとするなら、その個性に合ったものを勧めなければならないのは自明の理でしょう。

もっと言えば、お客様の個性に合った暮らし方や未来像を提案することです。

意外と、お客様自身はそんなところまで考えていないものです。

製品やサービスも単純に好き嫌いやお得感で選ぶ人が大半でしょう。

それが当たり前と思っているお客様に、お客様も気づいていない夢をグランドデザインして提案すれば、そこには驚きと新鮮な感動が生まれるはずです。

それだけで、お客様を自分の手元に引き寄せることができます。

商売とは感動をあたえることである

こう言ったのは松下幸之助です。

あなたの個性とお客様の個性が反応し合えば、そこに必ず感動が生まれるでしょう。同時に、お客様の未来を一緒につくることに喜びをかんじることになるでしょう。

そんな経験が積み重ねれば、個人の成績はぐんぐん伸びていくでしょうし、社員全員が同じ姿勢で仕事に臨むなら、会社の発展は間違いなく、業界で群を抜く存在になれるでしょう。

                               

あなたもお客様の個性に合った未来像を提案して感動を共有し、心地よさを味わいたくありませんか?