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専門コラム 第25話 オリジナルの営業

                                   

オリジナルの営業

本コラムでは展示場案内や営業の進め方を、先輩営業が続けてきた方法を守ることを推奨しています。

いわゆる「守破離」で言うところの「守」です。

 

しかし基本を身につけたら、いつまでもそこに留まらず、新しいメソッドを取り入れ、やがて離れていかなくてはなりません。

いつまでも古い手法に雁字搦め(がんじがらめ)になっていては、本来の自分の個性にも気付かず、いつまでも営業として打点を伸ばせないまま終わってしまうでしょう。

 

昔から「営業は自分のスタイルを早く見つけた方が勝ち」と言われてきましたが、これは真実です。

 

ではオリジナルな営業手法とは、一体どういうものなのでしょうか? ここでは、ひとつの例を挙げてみます。

 

基本を身につけたらオリジナルな営業手法を早く見出そう!

ある営業マンの例

ある営業マンは集客の過程も一つのセールスと位置付け、オリジナルな営業手法を組み立てようと考えていました。

 

それというのも、彼は展示場に入れる時間が少なく、先輩や同僚に比べ、思うように成績を上げられなかったからです。

そのため展示場に入る時間が少なくても安定的に受注できる方法を、毎朝の出勤時間を使い真剣に考えていました。

 

もちろんそんな方法が、簡単に思いつくはずもありません。

しかし彼にとっては真剣なテーマです。

 

営業は住宅展示場があれば、ほとんど集客には困りません。

もちろん展示場が単独出店しているケースもあり、立地や外観などでお客様が入展しにくい展示場も実際に存在します。

ただ、集客力がゼロということは原則としてあり得ません。

 

そうした環境が普通であるのに、住宅展示場のポテンシャルをそれほど使わず、且つライバルより少ない見込み客リストから安定的に受注できる方法なんて、どう考えても虫が良過ぎます。

 

営業マンが抱える大量の見込み客リストを生かす

しかしそれから数年後、彼は多くの書籍を読みあさり、いくつかの出来事を経験しながら、ひとつのオリジナルな営業手法を手にします。

 

この方法は住宅展示場の集客力に全く依存しないわけではありません。

でもその方法を使えば、他の社員のように絶えず展示場に入らなくても、安定的に受注できるようになります。

 

もう少しわかりやすく言うと、その方法とはある程度の名簿数が必要です。

しかし彼の実験では、名簿数が十名前後でも大丈夫と言います。

 

一般的に普通の住宅営業マンなら、少ない者でも数十名単位、営業キャリアが長い人なら数百名ほどの見込み客リストを所有していることも珍しくないでしょう。

ただ、その大量の名簿を生かしきれていないのが、住宅営業の実態です。

 

つまり営業マンが大量に抱えているのに、その多くが持て余して終わってしまう顧客リストを有効活用するのが、彼が見出したオリジナルな営業手法の概略です。

 

勘の良い方はもうお分かりかもしれません。

 

彼のオリジナルな営業手法とは、顧客リストに向けて定期的に自分だけの「私信」を送るという、シンプルこの上ないものでした。

巷ではこうした「私信」のことをニュースレターと呼びます。

 

このように苦労の末、彼独自の営業手法を見つけます。

 

しかし今なら、営業手法を見つけることは比較的たやすいはずです。

何故ならいろんなタイプの営業マンが、書籍等で自分の営業方法を公開しているからです。

内向的な営業マンなら、内向的な性格の人が書いた営業本を参考にすれば良いのです。

 

これまで全く参考にしていない方はチャンスです。

一度騙されたと思って、営業本を手にとってみることをお勧めします。

 

オリジナルな営業手法がもたらす「ストーリー性」を伴った思考

なお彼が実物のニュースレターを目の当たりにしたのは、彼がまだオリジナルな営業手法に手を出す以前の、自身の集客に飛び込み営業を使っていた頃に遡ります。

 

その当時不在宅には、飛び込み用の名詞とともに簡単な会社の宣伝チラシを投函しますが、彼が回った前に既に先客も居り、他社のチラシを物色できる機会がありました。

その中で目を引いたのが、ある会社が作ったオリジナルなチラシです。

 

それはチラシというより、新聞や情報紙といった体裁です。

ただ他のチラシと違うのは、これから住宅を計画する方が知りたい情報が、まさに新聞の如く、驚くほど丁寧にまとめられていたことです。

新人の目で見ても、この情報紙が住宅に関心ある一定のお客様の心を掴むだろうことはすぐ分かりました。

彼はその情報紙を自宅に持ち帰り、相当な期間所有していたようです。

 

この会社は当時全くの無名でしたが、やがて近くの分譲地に住宅す展示場を構え、その後に地域でも有力なホームビルダーへと成長を遂げます。

 

この一風変わった情報紙が、今で言うニュースレターと気付くまで、あと数年の歳月が掛かります。

それでも飛び込みで出会った印象的な情報紙が、彼が後に考案した営業手法に多大な影響を及ぼすことを、とても懐かしいと話します。

 

ここから言えることは、オリジナルな営業手法を見つけようと努力すると、人は過去に起きた印象的な出来事にストーリー性を持たせて考えるようになります。

飛び込みで見つけた情報紙のエピソードがまさに良い例です。

 

単なる思い過ごしとも取れるエピソードですが、そんなことはありません。

 

人が何かを見いだすとき、物事のストーリー性(繋がり)は、とても重要なキーワードとなります。

そしてこのような試行錯誤の果てに、人は真にオリジナルな方法と巡り合います。