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専門コラム 第274話 営業レターの活用を住宅営業の基本にする理由

    

ずいぶん前に、住宅営業を始めた頃に体験した、飛び込み営業の話を書いたことがあります。その話の中で、なぜ筆者が営業レターを書くようになったか。これについて、確か触れたことがあったように思います――ないしは、飛び込みとは別のコラムで書いたかもしれません。

どうして営業レターを書くようになったか。

簡単に説明すると、当時勤務していた住宅メーカーで、成果が出たからです。ただ、それが何年かすると、皆に強制するように変わりました。そして、次第に書くことが苦しく感じるようになっていきました。

自由闊達に営業レターを活用すると非常に効果的だったのが、半ば強制的に変わり始めた途端、不思議なもので、レターはつまらない活動の足枷となりました。

しかし、そのような紆余曲折もありましたが、自身の住宅営業の基本は、営業レターを活用することでした。

そしてなぜこれほどに、手紙を使った営業にこだわるかをあらためて整理してみると、あることに気付きました 本日はそのことについて触れてみようと思います。
これまで書いてきたことと重なる部分があるかも知れません。そのことを承知の上、読んでいただけたらと思います。

  

営業レターの活用を住宅営業の基本にする理由

1 営業レターに重きを置く理由とは

 

話が長くなるといけませんので、結論を先に言いますね。

私が営業レターに重きをおく理由は、ひとえに競合に巻き込まれたくないからです。言葉を換えると、それは比較の渦に晒されたくないからとも言えます。

ただ筆者は元々文章を書くことが好きでした。初めの取っ掛かりはこれです。
実際に「競合に巻き込まれたくない」などと考えるようになったのは、ずいぶん後のことです。

また競合争いに巻き込まれずに済むということは、ほとんど特命(特命随意契約と同じ意味)で戦えることを意味します。
特命で戦えることの意味、重要性は、注文住宅の営業なら痛い程わかるでしょう。

ではなぜレター営業が、競合に巻き込まれないで済むかと言えば、未だに世間では、手紙を使った営業がさっぱり浸透しないからです。その理由が何なのか? 筆者には皆目見当もつきません。

これだけ本コラムでは、サンキューレターのこと、ニュースレターのことを話題にしています。数は圧倒的に少なくなりますが、同じようなサイトは他にも見つかります。
でもあなたの身の回りで、商品やサービスを利用したことによる感謝の手紙等が、どこからか届きましたか? 

おそらくほとんどの方が、手紙をもらう経験をしていないと思います。

これを逆手にとると、レター営業を上手く回すことができれば、一人勝ちの方向へ形勢をごく自然に運べます。
冷静になって考えてみれば分かるでしょう。ほとんど方がやらないことを進んで誰かがやるのです。良くも悪くも目立って当たり前です。

ただ心配は要りません。営業レターが悪く目立つことはありません。寧ろ良い目立ち方をします。

なぜそんなことを自信満々で言えるのか。
それは筆者がおそらく誰よりも、レター営業を実践してきたからです。

   

2 レター営業に関する注意点

 

ただレター営業に関して、若干の注意点があります。
 
それは営業ツールとしてではなく、純粋な意味で手紙を書くことです。
そこに営業的思惑が入ると、お客さまは営業的な思惟がある手紙だと気づきます。それでは手紙を出す意味がありません。

サンキューレター、来場お礼の手紙などは、数ある展示場、見学会会場の中から、当社を選んで下さったことに感謝の気持ちをしたためます。
そして何かあれば、あなたさまの住宅計画の力になれれば嬉しいと、率直な気持ちを伝えてください。

それには謙虚な心持ち、他意のない心根の美しさが肝要です。もう一度言います。大事なのは心根の美しさです。

先日亡くなられた経営の神、稲盛和夫氏のことは皆さんも知っているでしょう。

筆者は訳あって、稲盛氏の側近中の側近と言われる太田嘉仁氏が書いた『JALの奇跡』を早々に読みました。その本のプロローグに出てくるエピソードを紹介させてください。

 

 これは後日談になるが、JAL再建に成功した後、私は経営不振に陥っていたある一部大手上場企業から講演を頼まれた。「なぜJALの再建は成功したのか」を聞きたいというのである。稲盛さんにも相談をして、話をしに行くことになった。
 私が一通りの経緯を話したところで、その会社の幹部が質問をした。「結局、稲盛さんや大田さんはJALで何が欲しかったのですか。本当の目的は何だったのですか」と。一瞬何が言いたいのかわからなかったので聞き返すと、「何もメリットがないのに、無償であんな大変な仕事を引き受けるわけがないでしょう」と言うのである。
 なるほど、世間はそのような見方をしていたのかと初めて思った。その場で稲盛さんが引き受けたのは、損得ではなく、100%善意によるものだといくら説明しても、その幹部は最後まで納得しなかった。
 善意だけで引き受けるわけがない――それが世間の一般的な見方であったということだろう。

太田嘉仁著『JALの奇跡』 プロローグ「三つの大義と善意」より抜粋

 

残念ですが、このような二元論的思考が根強いエリートには、多分レター営業を教えてもうまく行かないでしょう。

また彼には、稲盛氏、太田氏、両名に備わるフィロソフィが欠けています。

この辺のことを詳しく知りたい方は、実際に本書を手に取られるといいでしょう。

   

3 レター営業はやりたい人だけがやればいい

 

また人によっては「営業で手紙を使うなど、ネクラな人間がやる事。なぜ正々堂々と口頭での営業ができないのか!」

そんな方もいると思います。

ただ、筆者は皆さんのように口が上手ではありませんが、この仕事を何年も続けていると、もうネクラな部分は払拭されています。つまり正々堂々と口頭での営業もできるのです。

ただ住宅営業は、知ってのとおり BtoB ではなく BtoC 営業です。
アポイントを取らない限り、日中訪問を掛けたところでまともな営業はおぼつかないでしょう。そんな状況を一瞬にして変えてくれるのも手紙の魔力です。

もちろん口頭による営業だけでも、競合に巻き込まれず主導権を握ることも可能です。ただどうせ書くことがそれほど苦痛でなければ、その力を活用しない手はありません。

ざっくりとした内容になりましたが、ここに書いたことが、営業に手紙を活用する主な理由です。

ただ最初にも書いたとおり、営業レターを強制のように捉えると活動の妨害要因にもなってしまいます。ですからレター営業は、あくまでパーソナリティに応じ、やりたい人だけがやれば良いのではないでしょうか。 仮にやりたい方がいたら、封書でもハガキでも結構です。サンキューレターから始めてみましょう。おそらくお客さまの反応が、いままでと変わるのが分かるはずです。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。