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専門コラム 第239話 セールスが重要じゃないビジネスなんて有り得ない

    

しばらくトップ営業マンについての話が続きましたので、今日はとても軽い話題を選びたいと思います。

例によって、動画チャンネル「ザ・レスポンス」から、『セールスに対する間違った考えtop3』というトピックがあります。

ここに上がっている top3 は、今も現役の営業マンでさえ、間違えて解釈している場合があります。また営業マンならまだしも、会社や上司の考えが、「ここに挙げた top3 こそ『営業の姿』と言わんばかりに」誤解している場合があります。その意味ではとてもユニークで、またためになるトピックです。 気楽な気分で読んでいただくのも良いでしょう。

  

セールスが重要じゃないビジネスなんて有り得ない

1 間違った思い込み①:セールスとは相手を言い包めること

 

このコラムでもいろんな局面で触れていますが、小川代表が真っ先に挙げたのが「セールスは相手を言い包めること」とする考え方です。

しかもこの間違いについては、営業自身のそうですが、他の部門の社員やお客さまはもちろん、会社の代表や上司の方も間違って解釈している項目です。

実は最近購入した米国の営業の書籍を読んでいましたが、この本の著者も「セールスは相手を言い包めること」だと解釈している節が感じられます。米国の営業の本でさえも誤って解釈していますから、日本でも多くの関係者がこの考えを誤解していても不思議ではありません。

実際のところ、「しゃべり」が上手、口が上手い、調子のいい奴みたいなものが、この仕事に向いていると思われがちです。小川代表曰く「必要のないものを買わせようとする奴、イコール営業マン」という図式。この安直な図式が今も根強く蔓延る職業が、我々の仕事と言っても良いでしょう。

しかし事実は、売れているセールスほどあまり喋りませんし、相手の話をよく聞きます。
また上手な質問をするのがトップ営業の仕事です。言葉を変えて言うと、売れているセールスほど相手を言い包めることと距離を置こうとします。

なぜならセールスとは問題解決だからです。

トップ営業や天才的な営業ほど、このことをしっかり理解しています。
直近の記事でも述べましたが、相手以上に相手のことを理解するのが売れているセールスです。

しかし詐欺だけは違います。
最近でも多い特殊詐欺ですが、この「相手を言い包める」技術がどのような局面でも必要です。

詐欺と営業が一緒では無い理由は、詐欺は「売り捨てる]のが商売です。しかし営業は継続してリピートしてもわなければなりません。そのため「相手を言い包める」という技術に走ってしまうと、仕事にならないのです。

随分前に「騙してでも売ってこい!」ということを、平気で口にする上司がいたとかいないとか。今もこれと変わらないことを言って発破をかける上司の元では、営業の一寸先は闇です。

一部の人にはいまだに信じられないことかも知れません。ただ何度も言いますが、セールスとは問題解決です。決して「相手を言い包めること」ではありません。 そして、この考えを改めない限り、いつまでもあなたは「セールス、営業という仕事」に苦しめられます。

   

2 間違った思い込み②:セールスには勝ち負けがある

 

売ったら勝ち、売れなかったら負け(買ったら負け)。これは決して間違いではありません。「自分に負けた」とする反省というものもあるからです。ただし、取引先であるお客さまとの間に勝敗があるとする考え方は、明らかに間違いです。

なぜなら常に勝負に勝つのなら、営業はあらゆる取引を成立させなければいけません。

しかしセールスとは詰まるところ、お客さまや取引先である会社との取引に過ぎません。
逆に条件が合わない取引は、こちらから丁重に断る必要があります。

多少極端な例ですが、たとえばあなたは反社会勢力に属する人たちと取引したいでしょうか。
また反社とまでは言いませんが、それに近い方、何かにとクレームをつけては「代金を負けてくれ」としつこく迫る方と取引したいでしょうか?

そういう方をお客にしてしまうと、その対応だけに追われて、次の新規も追えなくなってしまいます。そして挙げ句の果てに、営業の世界から離脱しなければいけなくなります。

売り手は生きている人間全員が見込み客と思いがちです。ただこれは大きな誤解であって、自社の商品・サービスが解決できる問題や悩みを持つ人が、自分のお客さまと考えるべきです。そうなると小川代表も言っているとおり、どうやって上手く売るかよりも、誰に売るかが重要になってきます。

このことについてもトップセールスほど、自社の価格提案を妥当と考える人に売っています。
そもそも価格しか見ない方では、何かにとクレームを呼んできます。またセールスには勝ち負けがあると思い込むと、要らないお客さまとも契約しなければいけないと判断してしまいます。 営業を長く続けたいのなら、セールスとは勝ち負けでは無いということにも、我々は気づくべきです。

   

3 間違った思い込み③:セールスが重要じゃないビジネスというもある

 

小川氏の見解では、倒産する会社の 7 割の原因は販売不振らしいとのこと。

自身もハウスメーカー退社後、経営コンサルタントになったのですが、安定して売り上げが良い工務店ほど、社長自らが販売や営業に携わっていましたし、もちろん直にお客さまにも接しておられました——反対に営業に出ず、直にお客さまにも接しない社長もいました。

営業の僕らとしては、社長自らが売ることに対して「営業より、もっと経営に集中してほしい」と考えることもありました。しかし営業を兼務する工務店は、社長が直にお客さまに接していることから、お客さまが「いま現在どういうことを考えているか」を察知できているという、有り難さのようなものも感じたものです。

もちろん工務店によって、社長の勤務形態はさまざまです。
しかし我々規模の会社で、営業の心を忘れるような社長では、経営もおぼつかなくなるだろうと思います。要は「セールスが重要じゃないビジネス」を想定するようでは、先ほどの 7 割の会社の仲間入りも早晩訪れるということです。

セールスはいつの時代でも、(それはたとえ米国であっても)人に良い印象を残す仕事ではありません。
だからと言うわけではありませんが、セールスに就くより「ウェブ・マーケター」と言われたほうが、世の中のとおりもいいでしょう。

しかし言わせてもらえるなら、世の中がそんなことだから、
何十年経ってもセールスに対する誤解、認識不足は一向になくなりません(と、このコラムは考えています)。 セールスでもマーケターでも、呼び名はどうでもいいでしょう。
ただ人様から何某かの対価をいただく限りに於いて、セールスが重要じゃないビジネスなんて有り得ないと思います。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。