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専門コラム 第232話 「売る」という行為は「人」が鍵となること

    

小阪裕司氏のワクワク系マーケティング実践会でご活躍中の肥前 利朗(ひぜん としろう)氏をご存知でしょうか。

恥ずかしながら、とても有名な肥前氏を、筆者はこれまでよく存じ上げておりませんでした。

しかし、ひょんなきっかけで拝見した肥前氏のメルマガが、どういうわけか妙に心に刺さりました。

どこが刺さったかと言うと、ニュースレターでよく出てくる「教育」と言うワードですが、このワードを「伝える」「広める」と置き換えることができると言うものです。

このことが氏のメルマガの趣旨ではありませんが、本日のコラムではこの辺りのことについて、またあらためて整理する意味も込めて、書いてみることにします。

  

「売る」という行為は「人」が鍵となること

1 肥前氏が伝える個店時代のエピソード

 

話は肥前氏が 10 坪少々の子供服と雑貨のお店を営んでいた、個店時代に遡ります。

そしてメルマガから引用すると、次のようなことが書かれています。

開業時から一押ししていた
ファッションブランドがありました。

スタッフ全員
大のお気に入りでしたが、

近隣で売っているお店はなく
お客さんも誰も
このブランドを知らない状態。

ゼロからこのブランドの良さを伝えて、
ファンを増やしていかなくてはなりませんでした。

やったことは地道でして、

店頭での接客や販促物、
お客さんに送っていたニューズレターやセールスレター、
ブログやSNS

などを通じて、

このブランドの良さや
私たちが惚れ込んでいる理由を
何度も何度も繰り返し伝えていきました

【オラクル】あなたの「売りもの」は何でしょうか? 肥前 利朗メルマガから抜粋

その結果として、5 年ほどでそのブランドは肥前氏が経営するお店の「マスタービジネス[1]」にまで成長していました。

そのポイントになったのが、ニュースレターなどで使われる「教育」、つまり「教える」ということであり、このメルマガでは「伝える」「広める」だと言います。

なお「売る=教える」ということ、また「伝える」「広める」ということを初めに提唱したのは、取りも直さず小阪裕司氏であり、この内容は書籍『失われた「売り上げ」を探せ!―商売繁盛の大冒険』(フォレスト出版 2001/10/1)にも書かれているそうです。

筆者はこのコラムでも何度か書いていますが、ニュースレターの「教育」という特性に、今一つ納得していませんでした。何故なら日本語で言う「教育」という意味には、上から目線の「教育」との意味合いが、どうしても含まれる気がするからです。

しかし「伝える」「広める」ということなら、そのようなことは関係なくなります。このことに筆者はまず共感したのですが、メルマガの内容はここに留まりません。

 


 

[1] ワクワク系の「マスタービジネス」とは、「売る=教える」という視点で、お客さんの毎日をワクワクさせ、お客さんのマスターと言えるビジネスのこと。ここでは「人間が主軸のビジネス」という意味で使われています。

   

2 「マスタービジネス」、また「人間が主軸のビジネス」とは?

 

ワクワク系では「売る=教える」ことであり、「教える」ということは「伝える」、「広める」ことでした。それがコロナ騒動を契機に、より明らかになったのが「人間が主軸のビジネス」というものです。

すでにワクワク系を知っている方には、当たり前のこととして理解できているでしょう。でも世代の異なる読者の方には『「人」が軸のビジネス』と言っても、理解できない方が大多数かと思います。

『「人」が軸のビジネス』とは、簡単にいうと「顧客リストの収益性を高める」こととも言い換えることができます。

例をあげると、小阪裕司氏が主催するワクワク系からの事例では、
• 映画の DVD ソフトが売れる某クリーニング店、
• 野菜が売れる美容室、などがあります。
これ以外だと、アクセサリーが売れるバーというのも、ワクワク系にはあります。

まだサッパリ分からないという方もいるでしょうが、これからの時代は「人」が良いと言っているから購買することが、徐々に主流となっていくという考えで、ワクワク系では、すでに2000 年代のフォレスト出版の書籍で、そのことに触れています。
先に上げた『失われた「売り上げ」を探せ!―商売繁盛の大冒険』の「マスタービジネス」こそ、そのことです。

そしてこの場合の「人」とは、ビジネスの経営者であり、実は「営業マン」もその一人だと筆者は考えています。

(それにしても、当時のフォレスト出版は、神田昌典氏にしろ小阪裕司氏にしろ、相当優秀な執筆陣を抱えていたものです……)

先のクリーニング店では、仕入れたばかりの商品を店頭に出していたところ、お客さまから「これ、こちらで売るんですか?」「もしそうなら、これも買います!」と言われたらしいのです。

つまりあなたが良いと思う商品なら、どんなものも迷わず手に入れたい。
こういう関係性が顧客との間で成立しているのが、いわゆる「マスタービジネス」であり、『「人」が軸のビジネス』です。 これで何となく分かったでしょうか?

   

3 『「人」が軸のビジネス』は昔でも普通にあったこと

 

もちろん、便利で何でも揃う Amazon や UNIQLO など、いわゆる大手のプラットフォームはすこぶる安泰と言えます。

しかしその一方で、スモールビジネスを中心にした「マスタービジネス」、あるいはワクワク系が言うところの『「人」が軸のビジネス』が、確実に力をつけるということは間違いないでしょう。

そして「人」が軸のビジネスでは「あなたがいいと言うから」、また「あなたが薦めるものだから」というだけで、顧客は欲しいと思ってくれるのです。そして、このことは別に今に始まることではなく、昔でも商売には普通にあったことです。

それがコロナ騒動を経験し、次はロシアによる民間人の大量虐殺、核や生物兵器使用が取り沙汰されるウクライナ危機に世界が揺れるなか、私達の商売はある意味「根本」へと立ち返ろう(あるいは「変化している」と、受け取ったほうがいいかもしれません)としています。

この「根本へ」というのが、店主としての「信頼感」と言えばいいでしょうか。

私達の住宅ビジネスも、人としての「信頼感」こそ重要な鍵と言えます。

ワクワク系・チーフエバンジェリストの肥前氏のニューズレターから、そんな重要なことを思い出しました。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。