専門コラム 第36話 コロナ不況と住宅営業の行方❷
2020年はオリンピックイヤーでもあることから、3月第3週も終盤を迎えようとしている最中、東京五輪が予定通り実施できるか新たな問題となっています。
また私たちに新たな課題を提供している新型コロナウイルスですが、今回は予告していました、営業をテーマに記事をまとめてみます。
題して「限られた需要から支持されるに営業は何をするべき?」です。
ただウイルスが発生しなかったとしても、本文に記した2つの事柄は、営業を生業にする私たちにとって、いずれも避けられないものだと考えます。
こんな時でも、営業がやる事はそう変わるものではありません。
今回の記事から、少しでも参考になることがあれば幸いです。
限られた需要から支持されるに営業は何をするべき?
幅広く住宅関連の知識を習得する
冒頭でも触れましたが、今回は2つに絞りました。
ひとつはプロとして恥ずかしくない程度で構いません。住宅関連の知識を習得しましょうということ。
このことは、本コラムが駆け出し営業マンを応援していることもあり、特にキャリアの浅い営業の方には強調しておきます。
住宅関連の知識は、大きくファイナンス(資金計画、税法上)の分野と宅建分野、そして建築に関連する分野に分かれます。
しかし営業はファイナンス分野と宅建分野には強くても、建築に関連する分野には弱い方が多いようです。
と言うのも、仕事環境によっては「営業は建築のことを知らなくても良い」とする会社があるからです。
ただ環境のせいにするだけでは何も変わりません。
特に体力が有り余る若いうちに、毎日少しずつでも良いので、将来の自分のために投資(勉強)することをお勧めします。
なかには「営業は建築のことに口出しするな(そんな暇があったら、とっとと契約取って来い!)」という会社がまだにあると聞きます。
ただ営業も建築全般のことを知らなければ、恥ずかしくてお客様との折衝を、とても一人では任せられません。
このような会社は「口が上手いのが営業。
ヤツらなら口先だけで見込み客を連れて来る!」などと考えているのでしょうか?
しかし営業の仕事とは「売り込み」ではなく、広い意味での「教育」です。
事実に基づいた知識こそ、営業にとって最大の武器なのです。
「営業は建築のことを知らなくても良い」という発想そのものがナンセンス
特にインターネットの普及で、お客様も資金計画の知識などは、たやすく入手できるようになりました。
事実、昔に比べ、資金計画についてアドバイスできる場面は格段に減少しています。
一方で、建築関連で信頼できるサイトはまだ少ないのが現状。
そのためお客様もどのような家を選べば良いか、適切なアドバイスを欲しがっています。
それに建築業界はリノベーションの需要が、戸建分野にも押し寄せてきます。
そして競合する可能性が高いのは住宅会社ばかりではなく、リノベーションに新たな活路を見出している不動産系の会社です。
しかし不動産会社が擁する営業マンは、概して戸建建築について、そう明るくありません。
つまり建築のことが分からない不動産会社の営業は、リフォーム工事の初期判断を誤ってしまう率が高く、逆に現場に詳しい建築営業は顧客からの信頼を得やすいのです。
営業がどんなに知識を得ても、自分の余暇を投資すれば問題は起きません。
お客様と対峙する場面が多い営業こそ、幅広く住宅関連の知識を習得し、専門知識を営業に活用しましょう。
トップ営業が実践する「顧客を選ぶ」営業
二つ目は、顧客に対し断る勇気を身につけるということです。
記事のテーマは「限られた需要から支持される」こと。
「限られた需要」とは「少なくなる需要」です。
これから需要が更に細くなるかも知れないのに、いまどうして「断る」ことが大切なのでしょう。
これは、いままで常識とされた枠組みを、全面的に転換する時期に来ていると、個人的にも感じるからです。
そして「顧客を断る」営業とは「顧客を選ぶ」と言うことです。
いま建築業界ではコロナ関連の事態が落ち着くまで、資材や住設の欠品等で工期が予定通りに運ばないことが続くでしょう。
そしてそのことを理由に、値引きやクレームを口にする顧客が増えた場合は、企業として守らなければいけない利益は軽く吹っ飛んでしまいます。
仮に建材関係が順当に届いた場合でも、ネットでは住宅会社と値引きについて、相変わらず話題に事欠きません。
しかしそういう時こそ、価格ばかりを気にするお客様は、あえて「他社に任せてしまう」、または「できるだけ早く断ってしまう」という逆転発想をしてもらいたいのです。
もちろん買う立場になれば、価格は重要な判断材料には違いありません。
ただし住宅と言う商品は、マスクやトイレットペーパーなどの日用品、また飲食業、観光業とは違い、価格だけでモノの善し悪しが判別できない特殊なプロダクトです。
また「顧客を断る」「顧客を選ぶ」ことは、トップ営業と言われる人たちが既に実践しています。
彼らは交渉を続けて良い人とダメな人を、ほとんど直感的に判断します。
「そんなこと、我々凡人には少々難しいのでは」と言い捨てる方もいるでしょう。
ただ上司を通じて担当を変えてもらうこと、折衝自体を丁重にお断りすることは決して失礼には当たりません。
営業とは、顧客と対等な立場でやり取りするビジネスです。ここを忘れてはいけません。
営業が顧客を選び始めると、まずその場の空気が逆転します。
これまで「顧客第一主義」が当然だったとしたら特にそうです。
しかし「顧客を選ぶ」営業は、自然に「追うべき人」というのが明確になります。
更に営業は顧客を見る目が育ちますから、逆に相手からの信頼が高まる場合もあります。
断ることで生じる損失は、皆さんが考えているほど多くはありません。
パラダイムが変化する時こそ、「手に負えない人」「付き合いたくない顧客」を率直に認めましょう。
トップ営業が実践する「顧客を選ぶ」営業とは、シンプルな決意から始まります。