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専門コラム 第119話 住宅の価値はプランニングでほぼ決まる !

 

筆者は比較的早い時期に、高気密・高断熱住宅の大切さを知っていました。

だからと言う訳ではありませんが、私個人にとって住宅の価値とは、温熱環境の面で高性能なことが半ば常識となっています。

 

ただ一つ言えることは、住宅が高性能なことは、住む上で「快適さ」を示す一要素に過ぎません。

大事なことがもうひとつあります。

それは優れた設計者にプランニングされていることです。

 

筆者にとって最高の住宅プランナーはいまも変わりません。

それは 1度目に転職した建設会社の設計士です。

もちろん、彼のプランの腕前はうわさでは聞いていまし、手掛けた建物の外観は建築賞の発表等で知り、以前から見ていました。

 

そして一緒に仕事するようになり、あらためて彼の施主との会話の進め方を目の当たりにし、すっかり舌を巻いてしまいました。

そんな彼は、一種の天才とでも言える人です。

 

ただ彼の凄いところは、二番手、三番手の住宅プランナーをしっかり育てていたところです。

そのため、たとえ彼が設計に参加していない案件でも、会社のプランレベルが落ちることはなかったと思います。

 

 

話が横道に逸れましたが、扱っているものが住宅である以上、設計力は非常に重要です。

また住宅の設計力は、前にも言ったとおり、工務店の「こだわりポイント」にも深く関わってきます。

≪参照≫『「営業なし」でもお客が途切れない事業を実現!こだわりのある住宅事業を展開しよう』

 

ただ住宅のプランはテーマが広く、とてもワンコラムでは書き切れません。

ひとまず今回の記事では、取っ掛かりだけをつけておくことにします。

  

なお今回の記事も、直接営業に関わらないものかもしれません。

しかし住宅の設計力という本テーマも、日々の活動の糧になるものがあると信じて書きました。

本記事が皆さんの参考になれば幸いです。

  

     

住宅の価値はプランニングでほぼ決まる !

コロナ禍で住宅設計も変わった!

  

これはよく言われることですから、皆さんも耳にしたことがあると思います。

それは新型コロナの影響で、在宅時のワークスペースの必要性が以前より増したことです。

 

また見落としがちなのは、コロナ以前とくらべて、子どもも家にいる時間が増えました。

その変化をあまり考慮せず新しい家を建てた方のなかには、自宅以外にワークスペースを求めなければならない方もいるようです。

 

また近い将来、学校のオンライン授業化が否応なく進むと想定していいでしょう。

そうなると子どもが家にいる時間は、いまより間違いなく増えることになります。

 

つまりこれまで家は、全てではありませんが、言わば学校や勤務先から帰ってくる居場所に過ぎないものでした。

しかしこれからは、通勤や通学といった移動という概念そのものが無くなるかもしれません。

 

いずれにせよ親も子どもも、家を中心に生活する場面、時間がこれまで以上に増えてくることは間違いではなさそうです。

そうなると家の設計も、これまでにも増して、より柔軟に計画していく必要があるでしょう。

   

     

家の豊かさ・心地よさって何で決まる?

   

ただ幾ら家を中心とした生活時間が増えたからと言って、いたずらに床面積を増やしていては、家計を圧迫してしまいます。

そのため家に掛かるコストは可能な限り抑えるのが、住宅設計の基本ということは変わりません。

 

その観点から言えば、たとえ学校のオンライン授業化が進んでも、子ども室の広さは、コロナ以前と変わらなくても結構です。

それより大事なのは、家族個々人が1人になって息抜きするスペースを家のなかに確保することです。

 

これは大人や子どもと区別せず、家族一人ひとりにとって必要なものです。

 

たとえば家には玄関ホールや階段の踊り場、2 階の階段ホール、また階下に降りていってガレージなど、家の各所に名称があいまいな「息抜きの場」が存在します。

これ以外のも、床面積に換算されないところではベランダやデッキ、中庭や縁側といったところが代表的なところ。

 

筆者の考えでは、これら多目的であいまいなスペースのちりばめ度合いで、家の豊かさ・心地よさはおおよそ決まってきます。

 

もちろん広い家なら、多目的スペースは取れて当たり前です。

そうではなく、狭い家でこれを確保できるから、家のユニークさ、もっと言えばカッコよさが際立つのです。

これが家の価値として、住む人に良い影響を与え続けます。

   

  

多くの不動産業者は住宅の土地探しにほとんど労力を掛けない  

 

また住宅のプランは家のなかだけではありません。

必ず外部とのつながりでプランは形づくられます。

家の外部とは大きく言って自分の敷地、または隣地、要は周辺環境全てを指します。

したがって基本設計をする場合は最低限、土地が決まっていなければプランは書けません。

 

そこでお施主さんに考えていただきたいことは、建築業者と一緒に土地探しをすることです。

 

たとえば、むかしから分譲地は南向きの土地から売れていきます。

 

しかし住宅を建てることを考えるなら、土地は北向や西向きのほうが、良いプランができます。

土地はむかしから東南の角がおすすめと言われていますが、それが通用するのは、いまよりゆったりした広い敷地だった(おそらく戦前)頃の話です。

 

2階リビングのプランが一時すごく流行ったのは、土地探しから住宅のプロが関わっていないからとも考えられます。

お分かりのとおり南向きの土地は、駐車スペースを考慮した場合、リビングの配置計画を組むとどうしても不利になるからです。

 

このほかにも「工務店と土地探しをしたほうが良かったのでは」という土地を、お施主さんから見せられる場面は少なくありません。

 

はっきり言いますと、ほとんどの不動産業者は家の土地探しに、それほど労力を掛けません。

だからこそ住宅を建てるための土地探しは、建築業者を巻き込んで探したほうがいいのです。

 

今回はここまでです。

 

この話が何かの参考になればと思います。