専門コラム 第317話 ユニクロの「LifeWear magazine」とニュースレターを続けるヒント
ここのところ、ユニクロの「UNIQLO INVISIBLE QUALITY」というウェブコンテンツに注目し、売る側が行う「教育」について考えてみました。
しかしこうした「教育」コンテンツは、何もこれに限定するわけではありません。特にユニクロのような優良企業は、「教育」コンテンツをたくさん抱えており、日々新しいウェブページを更新しています。
ユニクロ続きで恐縮ですが「LifeWear magazine」なんかもそのひとつです。
実は最近の記事で「ユニクロには“LifeWear magazine”って言うのもあります……」と紹介する予定でしたが、話がまた長くなってはいけないと思い、特に言及はしませんでした。
ただこれからニュースレターやコンテンツマーケティングに力を入れていこうとしている方に「LifeWear magazine」は、いろいろ参考になる要素が隠れています。
しかも、ニュースレターづくりに成功しだすと、あなたのビジネスの進展に(つまり住宅営業を守備良く進めるのに)、大きな力添えになります。 そこで今回もユニクロのウェブコンテンツ、「LifeWear magazine」を取り上げ、主にニュースレターを続けるヒントを見ていくことにしましょう。
ユニクロの「LifeWear magazine」とニュースレターを続けるヒント
ニュースレターと「LifeWear magazine」の違いとは?
ユニクロのウェブマガジンの「LifeWear magazine」は、正式には「LifeWear magazine Web」と言うようで、紙媒体の雑誌としての「LifeWear magazine」もちゃんと存在します。
そしてウェブマガジンの「LifeWear magazine Web」には、紙媒体の本誌に掲載できなかった読み物や撮影風景、「LifeWear magazine Web」だけのウェブコンテンツも、併せて公開しているようです。
「LifeWear magazine」と個人で発行するニュースレターとの決定的な違いがあるとするなら、膨大な取材と編集力にあることは間違いありません。したがって「LifeWear magazine」を見て、「特に参考にすることはない」とかたづけることもできます。ただそれでは「UNIQLO INVISIBLE QUALITY」で見せた反応と、何ら変わらないことになってしまいます。
そもそも営業マンが作るニュースレターは、自分自身を知っていただくことが目的で発行する私信です。そしてあなたのお客様が興味を唆るのは、「パリのユニクロスタッフが着こなす春のスタイリング」も、その一つに加えられるでしょう。しかし個人の私信であるニュースレターの場合、何より「あなた自身の○○○○」、「あなたがおすすめする○○」というコンテンツがあって、存在価値が出て来ます。そのためウェブマガジンのように、広範な取材は特に必要ありません。
またよくニュースレターで質問が多いものに「ネタが尽きる」ということがあります。しかしこれも考えようで、たとえば「LifeWear magazine」を手に取ると、建築家の安藤忠雄氏のインタビュー記事が掲載されています。そして安藤忠雄氏のインタビュー記事を見て、建築に携わる方で何も感じない方は、おそらくいないのではと思います。
そして出典元を明らかにし、ご自身で感じたことを自分のニュースレターに書けば、それは立派なオリジナルコンテンツとなります。これで、このコラムでの趣旨の半分以上先出しをすることになりますが、ニュースレターは本来「ネタが尽きる」心配がないコンテンツなのです。
特にニュースレターというのは書く題材は一切問われません。建築以外のことだって自由に書けるのです。 ただ「LifeWear magazine」を見て、筆者がおすすめしたいコンテンツは他にもあります。それは料理・飲食に関するコンテンツです。
「食」のコンテンツの良さはどんな「媒体」にも合うこと
マガジン形式の読み物コンテンツの多くは、大体女性視点で作られたものです。そのためニュースレターのテーマに関する相談は、社内の女性スタッフに聞いたほうが、良いアドバイスを引き出せるものです。
料理・飲食に関するコンテンツは、かつてほど性別差が消えたとはいえ、テーマ選びとしては、まだ女性スタッフに聞いたもの方が適切かもしれません。
「LifeWear magazine」の Spring&Summer でも、東京・目黒のレストラン『ロカール』のオーナー・シェフのケイティ・コールさんが始めた“ファーム・トゥ・テーブル”――「農場から食卓へ」とも言われ、2010 年代アメリカ西海岸から広まった食に対する新しい概念――のスタイルが人気を集めている様子を伝えています。
食――あるいは“食欲”と言ってもいいかもしれません――は、人間の根源的な欲ともつながるばかりか、住宅とも相性の良いテーマです。また誰しも興味があることではないでしょうか。
料理が得意な方は、オリジナルレシピがあればこれをニュースレターに掲載しても良いでしょうし、料理は食べるのが専門の方も、おすすめのお店を紹介したり、オーナーをよく知っている方の場合は、自身のレターにインタビュー記事を載せておいたりもできます。
また外部のファザードや店の内装など、建築的に特筆できることがあれば、これをネタに記事にもできるでしょう。アプローチの仕方いよって、記事に広がりをつけやすいことも、「食」のテーマの良さです。
ただ注意したいこととして、誰でも食に好みがありますので、味をお勧めする場合は、あくまで控え目な範囲でまとめておくこと。そして紹介する場合は、実際に足を運び、心から勧められるお店だけを選んだほうが無難です。 またお店の紹介記事を掲載した場合、事後報告でもニュースレターで取り上げた旨をオーナーに伝えておくと良いでしょう。そしてレターの読者の何人かは、「私もこの店のファン」というお客様があらわれます。
読み物コンテンツの素晴らしさ!
最後は月並みですが、読んだ本の感想やレビューを書いてみることです。
もちろんあなたが出すニュースレターは、住宅を建てる見込みのお客様に向けて書くものです。そのため、できるだけ住宅の見込み客が参考になる記事を多く書くべきです。しかも見込み客は、住宅の知識が蓄積されていくほど、購買意欲が高まっていきます。その意味で、適切な参考記事を発信することは、マーケティング的にも重要なことです。
ただあなたにも、適切な参考記事が見つからない、あるいは“書けない時期”が時にはあるでしょう。その場合も、建築やファイナンス関連の参考記事以外に、コンテンツの幅を自由に広げて書けるのがニュースレターの利点です。
なお「LifeWear magazine」には読み物コンテンツが何編も詰まっています。だからウェブコンテンツでも「LifeWear magazine」のような読み物なら、ちょっとした感想やレビューが十分書けるようになっています。冒頭でも書いた安藤忠雄氏のインタビューもそうですし、村上春樹氏もわりと長いインタビューが掲載してありますので、愛読者の方は結構楽しめる内容ではないでしょうか。
ただ注意したいのは、ウェブコンテンツでもつまらないニュースサイトや、村上春樹氏の発言にもありますが、昨今のSNS などはできる限り「読まないに越したこと」はありません。それなら活字に戻って感想やレビューを書いたほうが、真っ当な文章がつくれます。 そしてニュースレターでいちばん大事なことは、自分という人間を伝えることです。「LifeWear magazine」の18 編ある読み物コンテンツが、そのことを僕等に伝えています。
記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇
弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。
営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。
また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。