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専門コラム 第300話 営業マンにとって「知識」というものについて

 

前回のコラムで、知識について久々に書きました。

ただ、まだ十分語った訳ではありません。言うまでもなく、知識とは営業マンにとって非常に重要です。今回は自分の体験から、私が住宅営業という立場で知識を増やして来たか、良い機会なので書いてみたいと思っています。

特に営業を始めて1、2年目の方は、今回のコラムは参考になると思います。

  

営業マンにとって「知識」というものについて

初受注の思い出

私が知識を重要だと気づいたのは、最初の一棟を決めた時でした。
お客さまは先輩社員のボツ名簿から見つけた方ですが、いよいよプラン説明の段になり、上司が同行に着いてくれました。

実は住宅営業を始める前、私は大手ハウスメーカーのリフォーム部門で飛び込み営業を経験していました。当時この会社は、強引なセールス手法で売り逃げるタイプの会社でした。いまでは考えられないかもしれませんが、当時はそのような危ない会社がたくさんあり、使い捨ての如く営業社員を常時募っていました。

当然そんな会社ですから、商品知識といっても薄っぺらいものしか伝えてくれません。
今から思えば、当時の支店長は初めから知っていました。とりあえず、何とかモノになりそうな(すぐ辞めなさそうな)何名かさえ残ってくれればそれでよいと。
そして私たちを1日何件も飛び込ませました。

しかしそんな会社がいつまで続くわけがありません。お客様に対するマインドが変わらない限り、いつまで経っても彼らは上手くいかないです。

ただ営業という仕事は「所詮そんなもの」と高を括っていたところ、転職したハウスメーカーでどうも住宅営業の世界は違っていると気づき始めます。
そして、ようやく一棟目が決まるというその時、上司は私のお客さまに、低温暖房のこと、気流のこと、輻射熱はどういう仕組みで起こるか、なせパネルヒーターは窓下に設置することが望ましいかを丁寧に解説したのです。

その時、施主のご主人の他、奥さんとおじいちゃんも、その場に居たと思います。
そしてみな一様に「さすがプロの説明は違う」と妙に納得していたことを、今もはっきり記憶しています。そして次回、仮契約の約束をいただき、この日の商談は終わりました。

 

建築についてあまりにもモノを知らなかった新人時代

私はこの日から、建築に関するしっかりとした知識を習得しようと決めました。
というか、しっかりとした知識無くして、人生最大の買い物を選んでいただくこと、当社に決めていただくことは到底できないと知りました。

当たり前のことですが、営業という仕事は、巧みなセールストークで相手を騙すことではありません。そんなことをしなくても、しっかりとした知識があれば、商品は自然と売れていきます。

ただそれが理解できても、自分は建築に対して一般の人以上に何も知らなかった。
たとえば家を建てる場合、もともと住んでいた家を取り壊して建てる建替新築と、土地を新たに購入する土地込み新築がありますよね。その違いというものも、この時の筆者は具体的に知っていたわけではありません。

何しろ自分の一棟目の現場で、解体工事というものを初めて見たのです。
現場によって解体用の養生ネットが必要かどうかも知りません。
そのぐらい建築について無知だった私が担当した施主様は、どれだけ不安だったろうと思います。

もちろん地鎮祭も上棟式も、私自身が初めて経験します。
それでもなんとかやり抜けて来れたことが不思議なくらいです。
ただ住宅営業の仕事は、それだけではありません。金融機関の金銭消費貸借契約も筆者にとって初めての経験です。

今にして思えば、とても懐かしい思い出です。

あれから年月が過ぎ、地鎮祭も上棟式も、何を用意して、どういう段取りで進めれば良いかわかりますし、現場の流れ、金融機関の手続きについても、住宅営業としてどのように手伝えば適切か、十分わかっています。

そして現役を離れましたが、住宅営業として恥ずかしくない程度の知識は、現在でも押さえているつもりです。

ただこれだけは言えます。当時の私は決して建築系の専門知識に秀でたわけではなく、人より何倍も後れをとっていました。

しかし人より何倍も後れをとっていたからこそ気づくことは、知識が身につき始めると、自然と売れるようになっていくことです。
もしあなたが数字について、伸び悩む点があるなら、もう一度初心に立ち返り、建築に対する知識を深めてほしいと思います。そうすると面白いくらい売れていきます。

 

「深く学ぶ」とは

そして知識を深める。それは深く学ぶことにほかありません。

たとえば木造戸建住宅の断熱について話すとき、充填断熱のことを「内断熱」と発言しているケースがあります。

ここでは詳しくは書きませんが、内断熱とは鉄筋コンクリート造(RC造)で用いられる建築用語であり、一般木造住宅では、正しくは充填断熱(工法)といいます。

ところがネット上のサイトをみると、内断熱と表現しているところが圧倒的です。
またエコ住宅を推奨する名の知れた建築士ですら(充填断熱が正しい言い方と知っていても)、「内断熱、外断熱」という言葉を木造住宅にも平気で使っています。

しかし内断熱と充填断熱では、工法もさることながら、使われる断熱材の種類も異なります。
そもそも木造とRC造では、躯体の特性や構造にも大きな差があります。そこで建築法規上も、それぞれ別の名称を付与し、工法の区分けが考えられています。

つまり両者は「似ている」のではありません。建築的には「全く別種の工法」です。
(参考:[RC住宅の断熱方法](https://www.youtube.com/watch?v=phsunDkV-Vo))

幸い建材メーカーのホームページには、(軸間)充填断熱工法、外張(外張り)断熱工法となっています。
(参考:[断熱のすすめ|旭化成建材](https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/customer/neo/point/5-5.html)
[木造住宅に充填断熱が適している理由|マグ・イゾベール](https://www.isover.co.jp/glasswool-life/about_glasswool/construction#merit)

深く学ぶとは、以上のようなことです。

また深く学んだ知識は(ユダヤのタルムードではありませんが)あなたにとって、誰にも奪われない掛け買いのない資産になります。
 

次回は知の資産を得ることの利点にも触れようと思います。どうぞお楽しみに。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。