営業職に特化した人事考課制度の指導機関

〒150-0044
東京都渋谷区円山町6-7 1F

TEL : 03-4405-8949

専門コラム 第299話 売れる営業マンが「値引きをしてでもとる」と言わないのは?

 

住宅業界は、古くから成績が良い営業マンも、値引きという行為に埋もれる傾向はあります。

またハウスメーカーを主とした住宅会社は、以前より激しい値引き合戦がありました。

しかし消費税が5%を超えた1997年辺りで、次第に値引き合戦から離れる会社が増えてきました。

原因は着工棟数が減り、いつまでも値引き頼みの商談を繰り返すようでは、次第に採算が合わなくなってきたからです。

本日は、値引きについて考察していきます。

  

売れる営業マンが「値引きをしてでもとる」と言わないのは?

営業力の違いこそ「関係の質」を高めることにある

業の力の「ある・なし」とは何か。
それは元リクルートの営業研修トレーナーである伊庭正康氏流に表現すると、お客さまとの「関係の質」を高めることです。
このコラム流に言うと「信頼の絆」を高めることです。

そして「関係の質」も「信頼の絆」も同じ営業ですから、両者を高める行為に大差はありません。大きく捉えると、あなたが業界を良い方向に導くナビゲーター、専門家になれば事は済みます。

良きナビゲーター・専門家と認められると、俗に言う「営業」とは違い、向こうからアドバイスを貰いたと、自然に人が集まってきます。

たとえば安倍元首相、また短命でしたが後任を務めた管元首相らが、元財務官僚の高橋洋一氏を自身の側近に据えたのは、高橋氏の持つ経済学・数量政策学の知見の深さ、統計学や会計の知識にも非常に詳しく、頼りになるブレーンとして絶大な信頼を得ていたからです。

もし高橋氏が営業マンとして見積もりを提示したとすると、相手は彼の意向を概ね汲むでしょうし、仮に値引きに及んでも、他社との比較ではなく、あくまで価格調整の範囲に収まるはずです(それでも相手が値引きに固執すれば、営業から断ります)。

この例のように指南役、業界の専門家なるにために必要なこと。それはざっくり言うと、専門知識の習得です。そのため、このコラムでは専門知識の大事さについて、以前から煩く言っています。またその習得方法についても一部書いています。

 

知識をつけることで自然とコミュニケーション能力が高まる!

なお、あなたの業界が住宅業界でなく、別の業界というなら、それほど労力、あるいは時間を掛けないでも、ナビゲーター・専門家と認められるはずです。でもあなたが建築業という場合は、その道の良き専門家と言われるまで、おそらく数年は掛かるかもしれません。

でも好きなこと、興味があることを学んでいくのです。私の経験では、下積みの間は楽しくて仕方ありませんでした。しかも学べば学ぶだけ、自然と営業成績も向上します。
なぜそんなことが言えるか。一般に人は知識が身に付くと、これを人に伝えたくなるからです。それは私自身がそうでした。

筆者はこの上ない「あがり症」です。ところが注文住宅を売っているときは、特に専門知識をお客様に伝える際、落ち着いて会話ができました。これはテレ朝系の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」という番組で、子供博士こと“博士ちゃん”が、単に物知りだけではなく、上手な話し手になっているのと似ています。

つまり専門家と言われるくらい知識を吸収すると、人はその知識を上手く伝えられるようになるんです。もっと言うと、人は一つのことに詳しくなると、自然とコミュニケーション能力が高まります。

これは話すことだけにとどまりません。書くことについても同じです。

このコラムはライティングについてもたくさん記事を書いていますが、ある分野について詳しくなると、同時に筆力も向上します(但し筆力については、一定の「鍛錬」「トレーニング」は必要です)。

ここまで書けば「知識を吸収するのが面倒」なんて言っていられません。

ただ一つだけ注意が必要です。
それは私たちがつい相手のことを忘れて、話しすぎることです。
人は知らないことを聞くのは好きですが、知ったかぶりや説得を嫌います。そこを配慮出来ていれば、モノを覚えることは、あなたに良いことしかもたらしません。

 

倒産は最大の“責任逃れ”また“売り逃げ”みたいなもの

以上で僕達営業が、業界を問わず、お客さまとの「関係の質」を高めることに注力する意味が理解できたと思います。

最後に一言だけ付け加えさせてください。

実は K さんのコピーライティングのメソッドに、こんなフレーズがあります。

それは「……そして倒産は、最大の“責任逃れ”です。
見込み客や顧客にとって、それは“売り逃げ”みたいなものです——」というもの。

なぜこのフレーズを引っ張り出して来たかというと、安易な値引き合戦は、企業の倒産をも引き起こすからです。
そしてこのことは、営業は値引きという「麻薬」に、いつも強気で撥ねつけるぐらいでなければダメということです。それで高橋氏の例では「それでも相手が値引きに固執すれば、営業から断ります」ということを書き加えました。

参考にしてみてください。

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。