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専門コラム 第210話 お客さまはこの店をどういう理由で選んでいるか?

    

最近、朝早くに仕事に取り掛かっている関係で、いつも読み流しがちのメルマガも、落ち着いて読んでいます——いまだけのことかも知れませんが。

その中の一つに、会員からとてもユニークで、そして素敵なエピソードが寄せられたメルマガがあります。

メールマガジンの主を言うと、このエピソードを寄せた方のプライバシーにも触れるでしょう。したがって、あれこれ詳しくは書かないことにします。

ただその報告があったのは何某かの食品を扱っている店舗の方で、
今回のエピソードは、あるお得意さんの引っ越しに絡むことは伝えておきますね。

そして「今度、遠くに引っ越さなければならないが、続けて商品をこちらから購入したい。ついては、これからは電話で注文するので、お金は先に払っておきます」
と言って、お得意さんはそのまま現金を置いていったと言います。

それもその食品を買うのにしては、どうみても少々多すぎる額を……

  

お客さまはこの店をどういう理由で選んでいるか?

1 普通の人ならやらないこと。でもファンは違う。

 

さらに驚いたことは、その方がいつも購入する物は、産地から言っても、別にそのお店でなくても手配のつく食品です。引っ越す場所から考えると、首都圏のお店を探せば、送料も安く済むところも見つかるでしょう。

そして、普通は皆そうします。

よって店主は、はじめに引っ越しと聞いて「このお客さんとの縁もこれで終わりと思った」と言います。ところが、この方は「続けて商品をこちらから購入したい」と言うではありませんか。

前回のコラムに書いたことですが、私たちの住宅業界は商売の特性上、リピート購入について疎い業界です。
そのため「今後も A という食品なら、あなたのお店から買いたい」と言って下さることが、いかに尊いことか、つい忘れてしまいがちです。

そして繰り返すようですが、この方は「お代は先に」と、そこそこの現金をお店に預けました。逆に言えば、よっぽどそのお店はそのお得意さんから信頼されていたのでしょう。

こういうお客さまを「真の顧客」または「ファン客」と言います。

さすがに店主は、このお客さまの、ある意味で「破天荒な」行為に、些か驚きました。
ただ内心は、お客さまが預けた深い絆を、とても喜んだに違いありません。

実はこの食品の店に起きた大逆転劇は、これで終わりではありません。

以前からお付き合いのある会社から、予定数を大きく超える注文が舞い込み、また、惣菜屋や簡単な食事処を併設した出店の要望もあったといいます。

実は昨年の夏にお店は運転資金が底をつき、途方に暮れていたと言います。
それが僅か半年も待たず、復活の兆しが見えてきたのです。

その喜びとも安堵ともつかない思いは、ひとしおだったに違いありません。

   

2 お客さまはこの店を何で選んでいる?

  

メルマガはここで終わっています。

このお店に〇〇万円を預けたお客さま、また同店に出店を要請するお客さまは、
この店を何で選んだかを、メルマガの読者に問うように……

せっかくのコラムですから、筆者なりの答えを考えてみました。

お客様は間違いなく、便利であることはそう望んではいないでしょう。

そういう意味では、コロナ過で都知事や尾身会長がテレビで盛んに呼び掛けた「不要不急」のお店です。お酒は扱っていませんが、コロナ禍で最も避けてほしいと、行政や一部のマスコミが市民に呼び掛けた類のお店です。

ただ利用する人には、とても意味のあるお店、人によっては無くてはならないお店です。
なぜなら遠くに引っ越すのに、それなりの現金を先払いしてまで、これからも利用したいと断言したお店だからです。

しかも商品は、探せばどこでも入手できそうなものを扱っています。

今回の引っ越しの距離から考えたら、そのお店で購入することはかえって高くつくはずです。

つまり利用する方にしてみたら、そのお店のどこかしらに強い愛着や買う意味を見出したのでしょう。 そうとしか言えません。

   

3 ニュースレターは便利なツールなんかではない!

 

総合的に観て、そしてそれを可能にすることと言ったら……もう分かりますよね?

ニュースレターです。

ニュースレターと聞けば、メルマガの主が誰か、このコラムをよく読んでいる方だったら、すぐ分かるかもしれません。

そうです、あの方のメルマガです。
(しかしせっかくここまではぐらかしましたから、今回は名前は明かさないことにします)

ただ、もうひとつ気づいたことがあります。

それは誰でもニュースレターを始めれば、このお店に起きたようなことが起こるかということ。残念ですが、筆者はそう思いません。ニュースレター以外に何かが必要です。

具体的に何が必要か?

それにはある程度の検証もいるでしょう。
というのも筆者自身が、このエピソードを知るまで、未だ言語化できずにいたからです。

でもおそらくこのことは、間違いないはずです。
でなければ、そもそもここで紹介したメルマガ自体を、流し読みしたかもしれません。

そんなこともあって、これから書くことは、個人的感想として捉えて貰えたらと思います。

それは、もし目先の売り上げを変えるためだけに、ニュースレターを活用するなら、思ったほどの効果を得られない場合があるということです。

また、必要以上に「目先の売り上げを改善できる、そしてその目的で使おう」とする方に、ニュースレターというツールは微笑んではくれないということ。

もっと言うと、ニュースレターは便利なツールなんかではありません。

一種の販売哲学です。

こんなことを言うと「気でもふれたか」と思う方もいるでしょう。
しかし書いている本人は結構本気でこれを書いています。

そして一種の哲学を解き明かそうと、たかがニュースレターに多くの紙幅を割き、昨年来からいろんな記事を書いてきました。その意味で、このコラムにおけるニュースレターについての考えは、何も変わっていません。 続きは次号に書きますが、皆さんにここまでのことが伝われば、嬉しく思います。

 

 

  

  

 

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。