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専門コラム 第315話 すべての営業マンに見ていただきたい!【中川牧師の書斎から】という動画とは?

 

最近は比較的多くのユーチューバーに巡り合うようになりました──その多くは仕事柄、建築系のユーチューバーでしたが──。

ただそんななか、ちょっと毛色の違うユーチューバーがいます。

Harvest Time Ministries(ハーベスト・タイム・ミニストリーズ)を運営する牧師の中川健一氏もその一人です。

ただ筆者はあいにくキリスト教の信者ではありません。そのため『中川牧師の書斎から──』というザブコンテンツのほうを、専ら愛聴していました。

『中川牧師の書斎から』は、コロナ禍でスタートしたシリーズもので、当初は中東情勢を扱い、その後、米大統領選挙にテーマが移行していきます。筆者がこのチャンネルに出会ったのはちょうどその頃です。

そして『中川牧師の書斎から』は、既にその活動を休止しています。理由は米大統領選挙が終わったこと。そして中川氏も、本来の仕事(聖書の解説)に力を注ぎたいということでした。

難解なテーマの割に、とても分かりやすいチャンネルだったこともあり、この知らせには、正直些か落胆しました。

ただ長く視聴するうちに「この牧師のチャンネルを、営業の皆さんに教えたい!」という気持ちが次第に強まっていきました。それは中川氏の語りには、営業にも参考になる点が幾つもあるからです。 今日はそのなかから 3 つの項目を上げてみます。

  

すべての営業マンに見ていただきたい!【中川牧師の書斎から】という動画とは?

アウトラインの提示とスクリプトを事前に用意しておく

中川牧師のプロフィールを簡単に紹介しましょう。

中川牧師は 今年(2024 年)で 77 歳です。

関西の(大阪府)出身ということは言葉からも分かりますが、中川氏は府立生野高等学校在学中に、交換留学生として 1 年間をアメリカで過ごします。

そして大学は東京・国立市にある一橋大学法学部に進み、卒業後は帝人に入社します。

その後、日本マクドナルド部長代理を経て、1979 年に米イリノイ州のトリニティ神学校卒業、牧会学修士を取得します。そして 1986 年に福音テレビ放送団体『ハーベスト・タイム・ミニストリーズ』を設立。筆者も若き日に中川牧師をテレビで見掛けた記憶があります。

氏が英語やアメリカ文化に造詣が深いと思われるのは、高校時代や大学卒業後での留学経験が少なからず生きていると思われます。そいうこともあって、『中川牧師の書斎から』の冒頭では(初期の配信を除き)、ほぼすべての動画でアウトラインやスクリプトを効果的に使っています。これを参考にしない手はありません──なお、ここで言う「スクリプト」とは、動画配信用の原稿や台本のこと。プログラム言語のことではありません──

今後営業は見込み客との折衝で、ディスプレイを介してのやり取りも増えることでしょう。そうした場面で、アウトラインの用意やスクリプトがあるか・ないかで、見込み客の理解度はずいぶんと違ってきます。

アウトラインの提示は、ブログ等の文章表現では一般的だと感じますが、営業も顧客に向けた動画コンテンツ、またこれを配信する場面で、アウトラインを使ってみると、相手に分かりやすく内容を伝えることができます──牧師の場合は、アウトラインの最後に「クリスチャンとしての視点」を足すのが中川流です。 また話す内容のすべてが、必ずしもスクリプトどおりの必要はありません。あくまでスクリプトは話の展開のガイド役として、また忘れてはいけない固有名詞の確認ツールとして利用するだけでも結構です。そして情報発信には、ケアレスミスを最小限に抑えることを心掛けるべきです。

   

会話のスピードや絶妙な間から溢れる“トップ営業の片鱗”

二項目に進む前にいきなり失礼ですが、中川牧師はあまり話すのが上手な方ではないでしょう。いや、より適切な言葉に言い換えるなら、氏は決して「流暢な話し手」ではありません。

こんなに沢山の動画を上げていますし、何より中川氏の本業は牧師です。決して「話すのが不得意なはずはない」と譲らない方もいるでしょう。

しかし牧師と同じように、話すことが商売道具と思われている営業も、皆が、話が得意とは限りません。かく言う筆者は典型的な話し下手ですし、仲間にも私ほどではないにせよ、話し下手な営業マンは腐るほどいます。

「流暢な話し手」とは、例えばメンタリストのDaiGOさん、また経済評論家の勝間和代さんのように、話すのに台本を必要としないユーチューバーです。動画の発信に、アウトラインやスクリプトを事前に用意しておく人に、「流暢な話し手」はそういません。

ただ中川牧師のように「ゆっくり話す方」は、図らずも「話すのが得意な方」と見られる場合があります。それは「ゆっくり話しす方」は、概して相手に思考の余裕を与えるからです。そしてこのことは「オートクライン」とも関係しています[1]

特に、決断に時間を要する高額な買物に「オートクライン」は欠かせません。なぜなら早口で一気にまくしたてる営業は、相手が口を挟み、自分の話を中断させる隙を与えないから。そのため、気の弱い買い手は「言いくるめられた」「買わされた」、また宗教なら「入信させられた」と感じます。

また、なかには「相手に考える余裕を与えてはダメ」と先輩に教え込まれた営業もいるようです。しかし冷静になって考えてみましょう。それは営業ではなく、一種の詐欺です──このように古い営業スタイルは、いつまでも通用しません──。

逆に話し下手な営業マンにはチャンスがあります。それは説得力という点で「ゆっくり話す方」には勝てません。なぜなら説得というのは「相手から説得される」のではなく、自分の思考(自分との会話)の産物だからです。

尊敬する丸山景右氏も、決して「流暢な話し手」とは言えません。意外とトップ営業と呼ばれる人に、話し下手な営業マンは多いのです。

筆者の予測では、中川牧師は売らせたら、かなりの「やり手営業」のはずです。それは会話に見え隠れする「絶妙な間」からも感じ取れます。 淀みなく話せるのになぜか契約を逃してしまう人は、一度話すスピードを落としてみるといいでしょう。その際、ぜひ参考にしてほしいのが中川牧師の動画チャンネルです。


[1] [R4.6.5投稿の『GIVE & TAKE: 「与える人」こそ成功する時代』から読み解く「パワーレス」営業のチカラ【前編】をご参照ください。]

 

人は真実を語る人の後に付いてくる

いよいよ最後の項目です。

三つ目は、新しい時代が進むにつれ、人は真実を語る人の後に付いてくるように思うからです。つまり中川牧師の動画を見て、筆者は「この人は真実を語る人」だろうと思えました。

このことは営業と顧客との感情にも似ています。

『中川牧師の書斎から』の#020に『「真のインフルエンサー」-恐れないで真実を語り続ける人たち-』という動画があります。

この動画ではいつもの『中川牧師の書斎から』とは少し違い、中川牧師が混迷の時代に「真のインフルエンサー」たる「真実を語り続ける人たち」を紹介しています。下記が、中川牧師が言うところの「真のインフルエンサー」達です。

• クライブ・ハミルトン(オーストラリアの作家・批評家)

• WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)

• 黒木亮(りょう)氏(英国在住作家)

• 飯山陽氏(イスラム思想研究者)

• American Gospel Motion Pictures

• ウィリアム・ウッド氏(真理のみことば伝道協会主事)

個別には説明しませんが、『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(飛鳥新社 2020/5/29)を書いたクライブ・ハミルトンやWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の編集姿勢は、この後に続く米大統領選の理解に、重要な役割を果たします。

そしてもちろん、当の中川氏自身が世界情勢にも強い関心を持ち、「真実を語る人」の一人と言っていいでしょう。

彼はこの動画で、これらの人、団体は「物事の見方を教えてくれる自分にとって教師」と語っています。筆者からすれば、中川牧師も立派な「教師」です。 そして皆さんの顧客にも、あなたを「教師」と見込む方がいると言うことを覚えておきましょう。そうすると自ずと、営業として取る行動が変わってきます──皆さんにも、何方か師と仰ぎたい方がいるでしょうか──。

 

  

  

   

記事提供:経営ビジネス相談センター(株) 代表取締役 中川 義崇

 

弊社は、日本で唯一の『営業マンのための人事考課制度』を専門的に指導するアドバイザリー機関です。

営業マンの業績アップを目的とした人事考課制度を構築するための指導、教育・助言を行っています。

また、人事考課制度を戦略的に活用し、高確率で新規顧客を獲得するための方法論を日々研究しています。